>>212
あなたは映像作品を味わう術が狭義なんですよ。
「こうでなければならない」
という既成概念に囚われ過ぎているのだと思いますよ。
実に面白みに欠けている。
例えば「ジョジョラビット」
物語の表面通り受け止めれば、それはナチス少年と匿われているユダヤ女の子そして少年の母親との生活を綴ったお話です。
しかし、冒頭のキャンプのシーン、それはナチスの訓練ではなくてまるでアメリカのYMCAのキャンプそのものの描写であります。そこでは少年と少女が明確に区別されるという通過儀礼が執り行われるのです。
もうこのシーンを見て(この作品は物語を表面通りに受け止めてはならない、何か裏のメッセージがある)と心構えなければならない。この物語は白日夢のような物語なんだと、ね。
主人公の少年は通過儀礼に失敗します。ウサギを殺せと先輩から迫られるが拒否する。
ウサギを殺して始めて一人前の男になるのだ!と唆されるのですが拒否する。
ウサギとは何を意味するのか?それを想像しながら観れば全てが理解出来るのです。
あぁこの少年は「氷川きよし」なんだな、と。カミングアウトするまでの魂の記録なんだ、ナチスとユダヤという人種差別についての物語ではないという結論に達します。

このようにして映像作品は楽しむのです。
小林誠氏のオススメの逸品「ジョジョラビット」です。