>>367
深夜の小林誠氏のアトリエ
むせるような密度の珈琲のステームを浴びて
焙煎の焦げた香りか小林誠氏の嗅覚を襲う
小林誠氏の眼鏡は曇り視野は遮断される
まずは第1の知覚のドアを開けてみる
そこには可憐な少女が虚ろな表情で立ちすくんでいる
「コバヤシだよぉぉぉぉ」
手招きをしながら呻く少女
だよぉぉぉぉぉぉのノイズが耳元で煩く鳴り続ける
それはミツバチの羽音であった
手で両耳を塞ぐ小林誠氏
手招きしている少女の手は宙を示している
空中に浮かぶ蜂の巣
巣の穴からドロドロと落ちてくる蜂蜜
我にかえる小林誠氏
珈琲が注がれたマグカップにスプーンで蜂蜜を垂らしてみる。そして…
第2の扉が開こうとしている
その隙間は深淵の暗闇
引き寄せられるように暗闇に吸い込まれていく小林誠氏
https://youtu.be/grlkoRazWh4