「ローズ、ローズ、あれ、あっち」ローズが同じ方向を見た。見たこともない農耕機である。「水上バイクじゃね?」跳ねる動きで彼らはそう思った。クレアも腰に手をあて見ている。ビルも促されて車の近くに来た。
「あれ人だよ。泳いでいるよ」ビルがその真似をした。「バタフライじゃんか。それ」彼らは眼を見張った。「後ろの何?食ってねぇか?人を、人だよ」男の下半身を咥えたまま突き進んでくる怪異なその生き物は彼らの前を横切って行く。
身構え、腰が引かれるように身がすくむ。瞬間その場が縮こまる思いである。
「笑ってた?」「違うと思うけど・・」通り過ぎる時、下半身を飲まれた男は彼らを見た。「何?あそこ。なんか置いてったよ?」クレアが人差し指を向けた。