「水上バイク以外には何かある?」「バタフライよりそれっぽいよ」「バタフライだよ。泳いでいるよ」十数秒の沈黙である。
「記録映画とかあるじゃんか?そのBGMが聞えたんだけどさ?壮麗なスローモーションの場面で使われる曲」ティトがローズの顔をみた。

降りしきる雨は時はを選ばない。景色は陰る。街ですら薄くなるのである。物憂げに。
近く寄り談笑する人たちも、離れて打ち解ける人たちもいる昼下がりの公園にはそれら以外の気兼ねがない。その物は色鮮やかである。その構造物に気兼ねはない。