目が回る。どうしてかな?懐かしさが甦る。視界が薄れてゆく。血の気が引く、違う、血流が伸びた手の指先まで登ってゆく。−ジャイアントスイングー

「舐めると痛いの!」地域のガキ大将ドン○の大技である。マモルはブンブンと振り回された。遠い日の記憶。円盤球体の遊具に乗った時以来である。

「あ、肩口が。ちょっと待って」ヨウコはマモルの肩のプロテクターの綻びをガムテープで隙間なく取り繕う。マモルは静かに気づいた。

似つかわしくない匂い。僅かな風が運ぶヨウコの移り香である。

辺りはどぶの臭気が充満する。「はやくしてくれよ。割りばしで摘んでいたら間に合わないよ?」コンタは両の掌を開けて付きだした。

「何がモンスターだ。佃煮にして食ってやろるぜ」「それじゃさ、奴らに名前を付けてやろうぜ」「ヒラメにタチウオ、カワハギ、それからなんだっけ?」

「適当に組み合わせて大げさな化け物にしようぜ」洋子、オケラ、彼女の能力である。そんな能力。そんな感じ。とにかく穴を掘るらしい。

マモル、ゲンゴロウ、めんどくさ。とにかく田んぼを泳ぐらしい。とにかくそんな能力である。シズキ、タイコウチだかタガメだか、とにかく水面の界隈では強そうである。