>>413、→9行目ラルフ・アンダー→ラルフ・アンダート  

 「キャディー、オロチだ」アンダートは傍らの暗闇に手を差し伸べた。細かな色が点滅し、金属を擦る音を立てながらアンダートの背後に黒い塊が近づいてきた。

続けて三度金槌で金属を叩く音がした。アンダートのサブ・アクター。キャディー・ラック。通称‘キャデイーである。

 「シーノ(しのぶ)さんキツネかジャガーは今どこにいる?」アンダートは走りながら応答を求めた。「ジェフ君ととオレク(奥田)さんね・・」

静かな公園の端に止まっている大型のバイクは電子音が鳴り、機械の作動する音がした。それは人型の物である。姿勢が傾き前に屈んだ。誰もいない場所に重く低い響きが待機する。

 「セカンド・ワールドって今必要?」シーノが呑気に尋ねてくる。「どうかな?」一つのオロチは今すでに背にある。相手は未知の実体である。

「心配ない。他に似た得物がある」シーノはまだ馴れていない。驚く暇がなかったからだ。

 「カンブリアン爆発?」聞いたことはあるが、シーノは目を丸くした。長い索引を示されたように視点が定まらない。

話がシーノの予測を少しだけ越えたらしい。今は、シーノには目録を示す程度でいい。「様々な形状のことらしい」ここから先は深奥の話となる。

 「シーノ、獅子の旦那は今どこにいるの?」ジェフが連絡を返してきた。「何かの気配があるらしい」携帯を片手に近くの誰かに頷いている。

ジェフもいくつかの連絡用端末を持っている。「ええと、大変そうみたい・・」シーノは革の上着を掴み身支度をする。