>>429、→「なんだ?何をした?」而留弥は一人だけ数歩前に踏み出し、気配のある先へ前を見据えたまま聞いた。
  
 「あの二人そこらじゅうぶち壊しているんじゃないかな?」バイクに跨り腕を組みレイノルズが言った。顔が少し笑っている。
「そうでもないみたい。昏倒したみたい」未流貴が言った。「昏倒?」レイノルズが頷き半分で声がくぐもった。
「伸びたみたい」未流貴が言葉を付け足した。
 確かに投げ飛ばしたはずであった。前後に突然強い気配を受けた。しかし咄嗟に間合いは掴んでいた。間合いに当てた瞬間でレイノルズは人指し指一本で相手を持ち上げ横転させた。
しかし次に驚くには驚いた。そこに同じ人間が何人もいたからだ。しかもそれだけではない。何かの魔物でもいたのか。その場の土地を掠めとるように何かが突然目の前に現れた。
マーカスとダドリー。ランスガルド兄弟の仕掛けである。「なんだって?」起ちあがりながらレイノルズが聞き返した。「パラレルダイナミクスだ。覚えておけ」
「ついでに俺のはワープトダイナミクスと言う」二人は涼しく笑った。レイノルズはうつむき口元を押さえる仕草で小さく笑いを漏らした。
「なんだ?小僧・・」マーカスが両目を細めた。確かに妙だ・・。レイノルズは思った。「でも大袈裟なんだよ?おっさん方」「面白そうか?じゃもっと面白くしてやろうか?」ダドリーも口角を上げた。
 既に二人の兄弟は動いていた。殴りかかるように四方から来た。レイノルズは真正面に向けて的を絞り倒れ込むように相手の真下に入った。立ち上がり様にいきなり真横からも来た。それは空気の塊だった。
突然の風圧を前を見据えたまま片掌を当て、そのまま何か相手実体に触らずにほんの僅かの隙間で流した。