>>429 11行目 →・・ 而留弥は皆より二歩ほど前に歩み出た。
>>438 10行目 →・・ゴーア種。ゴーアライオンである。  一度してみたいあの日の妄想・・

 すたすたと小次郎は歩を進めた。手に持つ棒は右の肩に乗せ、趺踞(ふきょ)の姿勢となる。おもむろにしゃがみ腰に腰を下ろした。
 斬り合えば互いに届く間合いである。彼は体の重心を両方の踵に乗せた。
 相手は正眼の構え。その切先から闘気が小次郎へ向かう。下肢は少し広げ腰を下げた。
 余裕のある中に隙はなくも、目じりに侮り伺う気持ちがある。
  
 辺りの様子はすでに変哲もなく、離れて見ている彼らにもやや力の抜けた気分があった。
 そのむしろ遮断された場の感覚に間隙の瞬間が走り抜けた。
 
 誰かの呼気がその場を掠めたと思う瞬間に、
 その浪人は表情を崩さずに真顔のまま、彼は対峙する姿勢を崩し上体が横に傾いていた。小次郎は一刀目で相手の刀身を真横に弾いていたのである。
 地面を鞭打つ音は鋭く跳ね、煙る埃が左右に割れた。眼(まなこ)の瞬くより前に、小次郎の諸手突きが相手浪人の首元に向かった。