>>454 4行目 → ・・それを掴むみ浮上した。腰のグリップキット・・
10行目 →境内に延べられた傍らの敷石に目を遣った。

 天をも貫(つらぬ)くユグドラシルの巨大な幹は日が開けるのも待たずしてその根が大海をすら吸いとらんと広く遥かに聳え立つ。

 空港気象の情報を受信した後がまず問題である。飛行高度とそれからのルート、その条件に合う巡航速度で燃料の確認をし、
頼る飛行情報を受信する担当管制センターからの指示を受けなけばいけない。
街があるわけではない空で頼る計器による視認は、存外機上レーダーの映す表情の機嫌の悪さに少し面食らうものであるかもしれない。

 「どうかなさいましたか?」バーデンダーが声をかけてきた。「いや。火をお借りできますか?」常連ではない。
「「どうぞ」バーテンがグラスの横にマッチ箱を置いた。「どうも・・」咥え煙草に火をつけながら言った。
こちらの様子を見ていたらしい。こちらが落ち着きがないのではない。こちらがさっき走り書きをした手元を見た。
そこに「調伏」と書かれたからである。
 
 グリナムは目を瞑り片手を前に翳した。「その曲で・・」グリナムは静かに言った。
グリナムが伝意を下界に送る様を、腕を抱くように組んでジュマーがけやき越しに向かいを覗くように横で見ていた。
 
 店員がターンテーブルにセットされたレコードの上に針を落とした。後ろで、客が一枚一枚目当てのアルバムを捲って探している。
空は等しくその模様を場所がらに関わらず同時に見ていた。同じ多くの店で同じ音の調べが輪唱した。

 楽劇より。ワルキューレの騎行。その第一夜である。