>>472 21行目 → 「用向らしい。奢ってやってくれ」玄衝は冗なのか情なのかにべも無く言った。

 「カジノである筋の連中を使ってたらしい」カシスはカクテルグラスを口元に運んだ。内部の人間の不振な動きだった。
その探りに裏があった。始末にを得ない事態は始末にを得ない処断の仕方がある。
 
 「その内部の人間ではないどこの誰だか・・」傍らの女性を挟んでその隣の男にカシスが言った。
その男は足を組んで聞いていた。
「痛めつけるだけでいいのか?」その男はカクテルグラスの縁に塗された粉を真顔で見た。
カシスは口元にグラスを運んだ。

 事のついでにどこの誰だかの顔を拝もう。挨拶を兼ねた交渉の会合を告知の俎上に乗せた。
見せしめにしたい気分があった。「追っ払ってくれないと困る」
両隣りの女性は唇に火照りを映し色気を醸す。その男は背凭れに肘を載せ素知らぬ顔でカクテルグラスを見つめた。
「燃やせばいい」カシスはテーブルへ身を乗り出してボトルを掴んだ。「冗談は置いておこう」
その男は携帯で店の外で見張る者と状況の確認をした。
 
 「お一人?大したことじゃないわ。でもこういう場所で一人だから」ミゲル・ラドキンというその男が指で指示を出した。
「あちらへ来てくれないかしら?一緒にお祝いをしたいそうなの」ジェイシーはラドキンを見た。男は眼鏡のフレームを摘まんだ。
その女性ジェイシーがラドキンへ頷いた。「焼くならこれでも石油がわりに使おう」
もう一人の眼鏡を掛けたその男がボトルを持ちカシスの隣に座っていた。「何!?」
ジェイシーが振り返るとその眼鏡の男はテーブルに突っ伏した。「寝ててくれ」変装具を被っていた。

キンは葉巻を吹かした。