>>284 20行目 →・・一人の人間の宿る剣技が作州に僅かに人の気配を持つ痕跡だけを置いて消えた。
>>485 7行目 →・・タイリングエンクローズ。

 ランは店に入り、カウンター横の観音開きのドアを通り抜けた。「おかえり」姉のマーノは作業を始めていた。
姉の背中を通り過ぎ奥の階段を上がった。二階の窓から外を覗くと屋根より少し高い中空を配送線が四方へ長く先へ奔っている。
外の地上からは決して見えることのない配送線である。普段の日常からは見えることがないのである。

 ランが覗くと籠の中の動物たちはその様相を変えた。「おかえり」数匹の森の生き物たちが話しかけてきた。
ランは姉のマーノと同じ服装に着替え、みごしらえをした。首に青緑のペンダントを掛けた。彼らは配送員である。
その動物たちも彼女たちと同じ青緑の石を持っている。姉のいる階下にも配送員がいる。下の階には大きな物たちがいる。
ランもマーノも交代で受け持っていた。  (あ、そうや・・)

 その緑の生き物は吹っ飛んだ。力一杯の張り手を見舞った。手を掲げて振り被り打ち下ろした。通称グレイ。その奴らに有効な手立てがある。
通称ワンインチパンチ。コンバット・アームと化した腕は対異性体の彼らにことごとく有効な一撃となる。しかしその生命有効回数券としての一撃は、
ことごとく一打目ごとに少し間が空くのである。それだけの負担が腕に掛かる。
 「うわぁ・・。しんでぇ・・。きつい・・」パットは両腕を地面付き、そのまま地面に座り込んだ。
全身に負担が掛かるのである。大振りの連打をするとひどくテロメアを消耗させる。ワンインチパンチの牽制は効く。
現に嬉しがるように身悶え、笑うように顔を歪める。奴らの苦痛は奇妙なのである。ゆえに牽制であるが効くのである。
 パットは息も絶え絶え悶え苦しむ前に予感を抱き、すぐさま腰のバッグから二本の強心剤の注射針を取りだした。一本を口に咥え胸に刺し二本目を腕に撃った。
グレイの後ろから首を羽交締めで締め落とした。バイスロック。万力締めである。モートンは既に二本の注射針を打っていた。
大きな目は潤み落ちる時に涎を垂らしやはり夢を見るように顔を歪めた。