作家ノーマン・メイラー(1923ー2007)が自作を監督した映画『タフガイは踊らない』(1987)。
https://www.youtube.com/watch?v=MCXbtYm3HDc
↑自身が登場して映画に対する批評を読み上げる予告篇。ハードボイルドっぽさもありますが、
ジャンルとしてはノワール、ミステリー。原作未読。ここまでひどい映画は珍しい。特に序盤から中盤が
とっ散らかっている。終盤にかけて生真面目に伏線を回収していく「へんてこ」で趣味が悪すぎるノワール。
何もかもが安くてダサくて見てられない。シリアスなのか「ウケ狙い」なのか判らない迷言セリフが数多く
飛び出す。「へんてこ」なノワール(コメディ?)だった『ワイルド・アット・ハート』(1990)がマトモに思えてくる。
未DVD化は納得ですがビデオ化されたのも幸運。我慢して最後まで観ると多少は愛着が湧きます。
https://www.buyuru.com/item_1061871_1.html
↑惹句「隠れた傑作か 天才の騒乱か!?」。↓伊藤勝男氏の『タフガイ〜』評(「珍作ビデオのたのしみ」)。
《珍品という事にもなるが[〜]。〜かのノーマン・メイラーが初めて取り組んだというハードボイルド風
小説、その映画化をメイラー自身がメガホンを取ったといういわくつき作品なのだ。原作の良し悪しは
別にして、作家自身の想像力を具象化するという映像への挑戦……なんとも不可解というべきか、
その観念的空間にみる退屈さ、無意味さは、ライアン・オニールの起用もなんのその、作家の文学的
表現と映像表現との大きなへだたり、単刀直入にいえば能力の差をいやというほど見せつけられる
のだ――それとも、この作品を理解できぬ自分の能力を疑うべきなのか迷うばかりだ――〜〜》