その事態は立場を動かす。その事態は立場に力を与える。彼らは肉体的に際立ち強い者わけでもない。種により役割がある。
ウェイドが追うサブストルは鉱物労働のために惑星入植させた種体である。
それらがなんらかの危険な思考的背景を持つに至った。彼ら独自の思想かもしれない。
 
 角を持つ獣の夢。人が知らない生き物である。追捕員は象徴的監視を行った。何かを知らせるための立ち止まった。
現場に残した折り紙はその一つである。被造物であった。 彼女の秘密を示しただけなのか。ウェイドが見垣間見た夢にまで言及していたことなのか。
逆である。サブストルたちが見るかもしれないレム睡眠が起こす世界を目撃したのだろうか?
 云わば普通ではない者と生きることを共有した。見る夢すらをも共有した。
角一つを誂えたその似姿を頭の中に飼うことになり、人に似た何かと共寝をする。寝息に重ねて首を絞められるわけでもない。
彼らサブストルはどのような夢を見るのだろうか?

 むしろ追捕人ウェイドを哀れんだ。その当てもなく追われる立場の者たちが次に力を持つ至る時、それまで自分たちを追い詰めてきた者たちと同じ振る舞いをするのだろうか?
雨脚が強まり差し迫る中に差し掛かり、サブストルの頭目、ハンス・レイナルドは心の裡を吐露した。その述懐の最中、
抱えたハトは小刻みに動き、その小さな生き物が持つ心臓の鼓動は思いのほか強かった。避けようのない自らの生が終わる状況にそれまでと違う互いの存在を越えた意味を与えることになる。
「我々は追う者と同じ生きる価値のある存在である」それはその小さな生き物の生殺与奪を持つに等しく、故にそれまでとは違う意識を持つに至る。
自分たちは価値ある存在を追い詰めたりはしない。「俺たちは尊い」