ネオンデーモン
モデル志望のティーンエージャーが上京してすったもんだ。
マルホランドドライブのモデル版と言えば内容は十分伝わるだろう。
ただし、リンチが好んだ闇はなく、リンチが心に置いていたワイルダーへの郷愁もない。
その代わりに明滅するネオンがあり、無機質な冷たさが光る。
序盤から下品なジョークのようにキューブリックを引用するあたり一癖感じさせる。
感情を抑制し人形のように演出させるわりに、どばどば出血させる生々しさからくる白々しさ。
鏡面を多用したアングルによって登場人物の目線を強調することで視線の複数性を意識させつつ、
強烈な色彩であたかも隠蔽するものは何もないといった風情で幻想を織り交ぜる悪趣味さ。
反射するものであれば月ですら視覚的直喩として取り込む窮屈さも不愉快だが、
画面に押し込まれた様々な対比の中で美しさに対するフリは常に担保されているので気持ちはいい。
マゾヒスト向けの映画だろう。
様々な要素を喚起させるイマージュは基本スルーしてシンプルなシナリオを追いつつ気楽に鑑賞しても楽しめるのでは。
一つ個人的にとても気に入ったのはメイク担当のルビーというキャラクター。
ネクロフィリアでレズビアンという設定もさることながら、微妙に不細工だが美人に見える時もある微妙な顔がたまらない。