1999セックスサバイバル
パッケージの宣伝によるとベルギー発のセクシー版マッドマックス。
世界はポストアポカリプス。シェルターに一人で暮らすヒゲ面が主人公。
戦前のニュース映像を見たり冷凍マグロ状態の女性を抱く日々。彼女に沸いた蛆虫を食べるシーンは序の口。
食糧が尽きて限界なので外に出たら、最初に遭遇したおっさん集団にアーッ!
その後、セレブっぽいプール付き邸宅に辿り着き、レズカップルの絡みを見物。
外見はただの廃墟なのに中を覗くとまるでリゾート。観客は早くも世界観を見失う。
おそらく遠洋から帰港した漁船のクルーより生きた女性に飢えていたはずなのに、妙に悟りきった表情で見つめる主人公。
冷凍女を抱き過ぎてネクロフィリアになったのかと思いきや、運命の女性に出会うと喜んで愛し合う。
ヒロインをならず者から守るために頑張るという形でドラマは進行する。
設定だけ見ると文明が失われた外の世界で、主人公が知る現代の知識を活かしてっていうドラマを作りそうなものだが
この監督はシェルターから出てきた主人公を外で暮らしていた野蛮人と同じ人間として扱う。
外の住人は言葉を喋れないので、当然主人公も喋れない。シェルターに居た設定は死んでいる。
疑う余地のない低予算ゴミ映画だが、所々で垣間見える監督の個性が醍醐味。
冒頭、おっさん集団が登場して丘の上に立ち塞がるローアングルの映像が妙に決まっている。
シーンの繋がりは無神経でろくに考えず製作されたようで、ゴアシーンになると地味ながら丁寧になるメリハリ。
後半で男色崇拝の教会で酷い目にあう主人公。その様子を隙間から覗いて衝撃を受けるヒロイン。
戸惑いながら部屋に戻ってうな垂れる姿に、観客の気持ちは見事にシンクロ。
ボロボロに疲弊した主人公が戻っても、ヒロインにはかける言葉もない。そもそも全編セリフないんだけど。
とりわけ思い出したくもないが変に記憶に残る気持ち悪い映画。
ネットレビューじゃ外人もツッコミながら楽しんで見ている人が多い。どこのファンも変わらない。
同じベルギー産の変態村の監督を見ると似てるシーンが結構ある。この遺伝子は脈々と受け継がれているようだ。