「シン・ゴジラ」と「君の名は。」どうしてこんなに差がついた


「シン・ゴジラ」ニューヨークタイムス評

とっちらかった特殊効果のてんこもりはあたかもわざと印象を散漫にしようとしているのかのよう。
物語はかなり雑でついていくのに苦労する。嵐のごとく大量に登場するキャラクターはまあ日本人の
観客にとってはアメリカ人の思う以上にたぶん意味があるんだろう。
本作は、パロディに徹しているときには最高のパフォーマンスを見せる。だが、それだけで二時間の
尺がもっているかといえばあやしい。
他にも、アメリカに対する日本の愛憎が 大雑把かつ幼稚に描かれたりもする。
クライマックスに、特別印象的な特殊効果シーンがあった。日本の在来線車両は、客を運ぶよりも
怪物をひるませるほうが得意らしい。


「君の名は。」ニューヨークタイムス評

とてもチャーミングで、優しいユーモアに溢れている。 体が入れ替わるという設定を通して性別という
ものに軽く触れたかと思うと、新海氏は、話を別の、もっと複雑な方向へともっていく。最初のほうで
はあまり重要でなく見えた神道、彗星、口噛み酒が、次第に話の前面に出てくるようになるのだ。スト
ーリーの展開に比例して、ビジュアル面でも、淡い水彩画のような背景が、感動的な役割をもつように
なる。三葉と瀧、そして観客がようやく何が起こっているのかを理解できた時、映画は、混乱の喜劇から、
国、歴史、カタストロフィー、記憶といったものを静かに考察する感動作へと形を変えていく
できればオリジナルの日本語版で見てほしい。