Xのレコーディングが遅い理由として象徴的に感じたのはダリアのレコーディング風景でのYOSHIKIの
「ボーカルにかけているディストーション(歪み)が聞こえない」ってミックスエンジニアに伝えてる部分

YOSHIKI「ボーカルのディストーションが小さくなった?」

ミックスエンジニア「下がってないよ?」

YOSHIKI「リバーヴ間っていうかディレイあってるよね?(これは残響音のこと、残響音が残りすぎてディストーションが聞こえないのではないかの確認)」

ミックスエンジニア「いやタイム合わせたから合ってますけど」

YOSHIKI「それ線書いてる?(エンジニア卓のつまみに書いてあるメモリの確認を促す)」

ミックスエンジニア「いや、でもこれ、ここだったよ?」

(段々とYOSHIKIがムキになる)

YOSHIKI「違う違う違う違う。ここですよ。」


このやりとりの後カットが入り、次のシーンでは、実際は小さくなっているのではなくYOSHIKIがボーカルテイクの後にドラムのバランスを決めたのでドラムにボーカルが食われてるという話をエンジニアがしている

いや周りが上がってるんだから小さく聞こえるのは当たり前でしょ?みたい気持ちを抑えながら、ミックスエンジニアがYOSHIKIに伝える

ミックスエンジニア「うん、だから、決める前のやつだからそのぶん下がってる」

YOSHIKI「じゃあそのぶん上げればいいだけの話じゃないんですか?」


ここで見てとれるのはつまり、YOSHIKIとしてはドラムに食われないようにじゃあまたボーカルを上げろ。と

でもそれではボーカルを上げたぶん今度はドラムのライドやシンバルが下がる

YOSHIKIは全部聞こえさせたいのだろうし、その時その時にいいと思うテイクを使ってて、それは単体で聴いたらもちろん凄くいいけど、音って重ねていくうちにそれぞれが埋もれてしまうもの
それにYOSHIKIは苛立っていて…

でも144トラック使ってるっていうから…トラック数って多いとお互いを潰し合うから良いことじゃないんだよね
音は少ないほうが単体の響きがよく伝わる
それを理解してるのかしていないのか、YOSHIKIは埋もれてしまったものは上げればいいだけだろ!というけど、
音の周波数のキャパシティって最初から決まってて、ディストーションがかったボーカルと同じ波長にYOSHIKIのライドやシンバルがあるから、席に座れるのは物理的に一人だけなんだよね

だからトラックを減らすか妥協するかしか道はないのに、音の現象として無理を言っている
なんなら物理学に苛立っているというか

全部完璧に響かせたいって気持ちは分かるけど、それはあり得ないことだからできない
できないなら足すんじゃなくて引く必要がある
ただダリアレコーディングで見れるのはそれをしないYOSHIKIがいたこと
もしあの状態が続いているなら確かにいつまでも仕上がらない