日本のロシアピアニズム第一人者の大野先生もこう言ってます。

YouTubeで受賞者の演奏を見ていると、???と思うのです。一見、素晴らしい演奏ですが何かが違うと感じます。演奏というものは、演奏者の背景にある様々なものを反映させてしまいますので、色々なことが想像できるのです。これを「コンクール弾き」と呼びます。

まず、音楽的におかしいということです。一見正しく弾かれてはいますが、ですから審査員は良い点を入れるのでしょう。がしかし、多分心から良いと思って入れているのではないだろうことうを感じます。それよりも良い点を入れざるを得ないと言ったのが正直なところではないでしょうか?
その演奏をよく分析してみますと、まず演奏者の弾く時の意識が違うように思います。それは、自発的で自然な音楽ではなく、レッスンにおいて教師に仕込まれた音楽だというのが、見ていてバレバレです。よく耳にするのは、コンクールの為に課題曲だけのレッスンを、小さな子供でも1回のレッスンで8時間とか週に2,3回もレッスンがあるとか、そのようなレッスンを受け、1音1音全てが仕込まれて、数か月のレッスン代は100万を超えるそうです。それにより受賞出来ても、それがいったい何になるのでしょうか?その子の将来にとって、何か重要なことなのでしょうか?親も教師もコンクールの存在に踊らされているとしか言いようがありません。
そのようなレッスンを受けたすえの受賞であり、演奏ですから、そこには何か間違ったエネルギーの使われ方の結果できあがった演奏としか言いようのない、申し訳ありませんが滑稽にさえ感じられる演奏になっていると思います。弾いている本人は真剣そのもので、一見音楽的ですが、そこには音楽の自然さがない、仕込まれた音楽をなぞっているだけであり、演奏者そのものが自発的に考え、感じているようには思えないのです。100歩譲って、本人が自発的に弾いているとしても、いわゆる「コンクール弾き」といわれるような演奏に陥っているのです。音楽の内容を本当に理解しないで弾いているのがわかってしまいますし、演奏行為として見た場合、脳の状態が違うと感じます。これは芸術でも何でもなく、ただの演奏、演奏???演奏などとも呼べる代物ではない、滑稽な行為とでも言ってしまいましょう!(笑)

このような演奏は、私が思うに日本を含め、東洋人独特の演奏の傾向にあるように思い、これをもし西洋人が聴いたら、典型的東洋人の演奏!というように思われるであろうことは確実です。多分、心の中では笑っていることでしょう!

とにかく、よく弾けていますが、根本的に違うということに、本人も教師も気付いていないのです。
これは、非常に大きな問題であり、はっきり申し上げて異常です!コンクールの乱立状態の昨今、日本全国がヤバい方向に向かっているということに皆が気がつかねばならないと思います。
私は、コンクールの存在というものは、基本的に肯定しますが、コンクールの受け方というものに問題があるのだと思います。
中には、コンクールを敢えて受けないで、受けさせられないで育ってくる子供もいます。そのような子が弾く演奏を聴く方が、健全な音楽をしているように感じます。しかし、残念ながら、今時珍しいと思ってしまうほどです。
日本全国の親や教師が一丸となって、コンクールを目指している今の日本の現状は異常です!!!