【ソウル=名村隆寛】韓国南東部の釜山(プサン)の日本総領事館前に、違法に設置されていた慰安婦像を釜山市が保護、管理できるようにした条例案が30日、同市議会で可決された。

 条例の成立、制定により、昨年末に市民団体が無許可で設置し、地元自治体が放置していた慰安婦像は、ソウルの日本大使館前の慰安婦像と同様、行政の管理下に置かれる。

 成立したのは「釜山市、日帝下日本軍慰安婦被害者支援および記念事業に関する条例」。慰安婦像の設置、支援、管理などを市長が行えるとの内容だ。

 釜山の慰安婦像は、日本大使館前の像と同様、外国公館前での侮辱行為を禁じたウィーン条約に違反している。

 また、大使館前の慰安婦像の問題を「適切に解決されるよう努力する」と韓国政府が約束した慰安婦問題をめぐる2015年末の日韓合意の精神にも反している。

 日本政府は釜山での像の設置以来、韓国政府に抗議し、今年1月には駐韓大使と駐釜山総領事の一時帰国など4つの対抗措置をとった。

 このうち、通貨、経済関連の協議の中断、延期と在釜山総領事館職員による釜山市関連行事への参加見合わせの3つの措置は現在も続いている。

 釜山市の決定は、日本政府からの再三の要求を完全に無視したもので、市の日韓関連行事への日本側の参加も事実上、拒んだかたちだ。

 釜山と交流がある日本の自治体との関係はもちろん、今後の日韓関係に悪影響が及ぶのは必至だ。

http://www.sankei.com/world/news/170630/wor1706300059-n1.html

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韓国・釜山の日本総領事館前の路上に設置された慰安婦像(名村隆寛撮影)