2013年、韓国プロ野球のプレーオフ前日、斗山ベアーズのキム・スンヨン社長がチェ・ギュスン元審判に現金を渡していたことが明らかになった。

韓国野球委員会(KBO)は昨年、一部報道を通じこれを認知して調査を行い、現金のやり取りがあった事実を確認しながら、斗山のキム・スンヨン社長に「厳重警告」措置を下しただけで事件を公表せず一段落させた。

「球団関係者と審判が絡み、『八百長』と関連付けられるほど重要な出来事を縮小・隠ぺいしようとした」と非難されても仕方がない状況だ。

■プレーオフ前日に金銭要求

KBO球団と審判の間で起こった金銭絡みの事件は、斗山とLGのプレーオフ第1戦前日だった2013年10月15日に起こった。

事件の当事者であるチェ・ギュスン元審判は同日夜、斗山のキム・スンヨン社長に電話をかけ、「酒を飲んでいて言い争いになり、問題が発生した。和解金がすぐに必要だから、被害者の個人口座に金を送ってほしい」と300万ウォン(約30万円)を要求した。

チェ・ギュスン元審判は斗山に選手として所属していたことがあり、キム・スンヨン社長と個人的に面識があった。

キム・スンヨン社長は同日夜、個人口座に300万ウォンを送金した。チェ・ギュスン元審判はLG戦第1戦の審判に割り当てられ、斗山は同年、3勝1敗でLGを破り韓国シリーズに進出した。韓国シリーズではサムスンに2勝4敗で負けた。

チェ・ギュスン元審判は韓国シリーズ前にもキム・スンヨン社長に金銭を要求したが断られた。チェ・ギュスン元審判は2013シーズン終了後、KBOを去った。

KBOが審判と球団関係者の間における金銭取引のうわさを知ったのは、昨年8月のインターネット疑惑報道でだ。

KBOは八百長との関連の有無を把握するため、関連試合の映像を再確認したが、「八百長と疑われるような点を発見することはできなかった」と述べた。

KBOは「キム・スンヨン社長も1回目は送金したが、2回目の要求は拒んだ点から見て、勝負に対する請託と見るには難しいと判断した」と説明した。

■隠ぺい疑惑、軽微な懲戒処分に非難

KBOは今年3月、賞罰委員会を開き、この事案と関連してキム・スンヨン社長に厳重警告を下しながらも公表しなかった。

KBOは2日、「チェ・ギュスン元審判が個人的な親交を利用して多数の球界関係者に金銭を借りているといううわさや状況があったため、キム・スンヨン社長も被害者である可能性があった」と正式にコメントした。

しかし、チーム長だったチェ・ギュスン元審判はプレーオフで1回以上主審を務めることが確実な状況だった。

「翌日から行われるプレーオフでチェ・ギュスン元審判がジャッジを担当することを斗山のキム・スンヨン社長が知らなかったはずはない」というのが球界関係者の見方だ。

プロ野球のプレーオフは1年間の総決算となる試合だ。これを前に球団関係者と審判の間に金銭のやり取りがあったのに、「個人的な事案」と結論付けて公表しなかったこと自体が話にならないという批判の声もある。

ある野球関係者は「球団関係者と審判の金銭のやり取りが外部に知れることを、KBOが負担を感じたのではないか」と語った。

2日、インターネット上の野球関連掲示板には、KBOと斗山を批判する書き込みが相次いだ。

あるネットユーザーは「プロサッカーKリーグの全北現代は審判買収で勝ち点が減らされた。斗山も新人指名権はく奪やドラフト指名順最下位など、実質的な懲戒処分を受けるべきだ」と主張した。

斗山の2部リーグ降格や1年間の無観客試合を求める声もある。

あるLGファンは「2013年は私の野球ファン人生で初のLGプレーオフ進出年だった。その時負けてどんなに泣いたことか。それが八百長試合だったなんて…」と嘆いた。


姜鎬哲(カン・ホチョル)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 記事入力 : 2017/07/03 08:40
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/07/03/2017070300550.html