韓国政府が要請した「終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備への報復措置」撤回を中国政府が事実上拒否したことから、韓国産業界が動揺している。専門家は「THAAD報復はいつまでも続くものではない」としながらも、「政府は安保と経済を切り離す交渉戦略を駆使すべきだったが、やや消極的だった」と指摘した。

「THAAD報復」の長期化で打撃が広がっている一部の流通小売業者や自動車業界、免税店・観光業界は焦りを見せている。免税店業界関係者は「今回の首脳会談でTHAAD制裁はある程度緩和されるだろうと期待していたが、時間がかかりそうだ。それまでどう持ちこたえればいいのか頭が痛い」と語った。

韓国の旅行代理店関係者は「新政権発足後、中国に変化の兆しが見られるという話は何度もあったが、(2カ月たった今も)依然として中国人団体観光客は0人で、実感できるような変化はなかった」と言った。別の関係者は「何か目に見える変化があるのではと期待したが、時間ばかりが過ぎている」と話した。

自動車業界など中国で現地生産を行っているメーカーは、さらに深刻だ。韓国自動車業界の関係者は「韓中首脳会談で何らかの解決の糸口がつかめるものと期待したが、失望と戸惑いを隠せない。今の中国現地のムードは、2012年に起きた日中領土問題の日本の自動車メーカーの時よりもはるかに深刻だ」と述べた。

中国現地に進出した流通小売業の関係者は「すでに4カ月以上も損失が累積しており、耐えがたい状況だ。このような状況が今後も続くなら、現地店舗の構造改革など思い切った措置もやむを得ない」と語った。

慶煕大学のチェ・スンファン教授は「過去に西側諸国がダライ・ラマ問題などで人権と経済問題を結び付けようとした時、政経分離を主張した中国が、今はTHAADと通商問題を結びつけるという矛盾した姿勢を見せている」と指摘した。

西江大学のホ・ユン教授は「THAADなど安保の争点は交渉対象でないというサインを出し、経済報復問題を解決しなければならない」と話す。ソウル大学のアン・ドックン教授は「両国が今回、見解の違いを確認したことで、中国が経済的(報復)措置をさらに取る可能性が出てきた」と述べた。


2017/07/08 10:20
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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