【ワシントン=黒瀬悦成】中国の崔天凱駐米大使が講演で、トランプ米大統領が「中朝貿易が今年の第1・四半期に40%近く増加した」と不満を表明したことに関し、「ゆがめられた印象を与える」と反論していたことが分かった。

 ワシントンの中国大使館によると、講演は10日にワシントン市内の政策研究機関で非公開で行われた。中国大使館が11日に公表した発言内容によれば、崔氏は「中朝貿易は2015年と16年に減少した」と主張。その上で、今年4月と5月には、中国が2月から始めた北朝鮮産石炭の輸入禁止措置の影響で、北朝鮮からの輸入はそれぞれ41%と31%減少したとしている。

 崔氏はまた、国連安全保障理事会の制裁決議には北朝鮮との禁輸は盛り込まれておらず、「通常の貿易は制裁で禁止されていない」と述べつつ、「国連決議に違反する北朝鮮の行動に強く反対する」とし、安保理による対北制裁の強化を支持する意向を示した。

 トランプ氏は中朝貿易の統計数字に関し5日、ツイッターで「中国の協力とはこの程度か」と不満を表明していた。4月に公表された統計によると、今年第1・四半期の中朝貿易は、中国が発表した石炭禁輸措置にもかかわらず、前年比37・4%増加した。

 崔氏はまた、「台湾や南シナ海で中国を挑発し、北朝鮮問題で中国を動かそうと企てれば、破滅的な結果をもたらす」などと主張し、米国からの圧力への対抗姿勢を鮮明にした。



http://www.sankei.com/world/news/170713/wor1707130016-n1.html
2017.7.13 09:05