国が朝鮮学校を高校授業料無償化の適用対象外としたのは合憲、適法だとする初の判断を、広島地裁が示した。

 北朝鮮や朝鮮総連の影響下にある学校運営の実態を踏まえ、公金支出を認めない国の主張を支持した当然の判決だ。

 訴訟は、広島市にある朝鮮学校を運営する学校法人などが、無償化の対象外とした国の処分取り消しなどを求めていたが、広島地裁は全面的に退けた。これを含め同種の訴訟が全国5カ所で起こされている。

 高校無償化の支給要件は「適正な学校運営」と定められている。国の税金を使う以上、当たり前のことである。

 判決では、この要件は合理的で差別には当たらず、合憲だと明確な判断を示した。原告側は民族教育を受ける権利を侵害するなどと訴えたが、「支給要件に該当しないためで、民族を理由としたものではない」と退けた。

 判決のいう通り、無償化から除かれたのは、不透明な学校運営の実態や教育内容の問題があるからだ。これを是正しないまま、差別というのは問題のすり替えにほかならない。

 広島地裁は、無償化の資金が授業料に充てられず、流用される懸念についても認めた。別の民事訴訟判決を挙げ、「朝鮮総連の指導によって学園の名義や資産を流用した過去がある」と指摘した。流用を気に掛けずに税金を使う方がどうかしている。

 高校無償化制度は民主党政権時の平成22年に導入された。朝鮮学校への適用については、北朝鮮が核実験を行う中、判断が棚上げされ、自公政権時の24年末に国が適用除外の方針を決めた。

 朝鮮学校の教科書は北朝鮮本国の検閲の下、朝鮮総連傘下の教科書編纂(へんさん)委員会が編集してきた。

 歴史教科書などには、金日成、金正日親子をたたえる記述が頻繁にでてくる。

 学校施設の一部を朝鮮総連が無償で使うなどの事例もある。東京都はこうした実態調査の結果に基づき補助金を打ち切った。

 補助金を見直す自治体は増えているが、しっかり調査しないまま支出を継続する自治体もある。

 拉致被害者を解放しない北朝鮮の独裁体制を支える教育内容などを不問にして、公金を使うことが妥当なのか。今回の判決を厳しく受け止めてもらいたい。

http://www.sankei.com/column/news/170721/clm1707210002-n1.html
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