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総司令官・松井石根の南京入城に当たっての訓令──

一、皇軍が外国の首都に入城するは有史以来の盛事にして、永く竹帛に
 垂るべき事績たると、 世界のひとしく注目したる大事件たるに鑑み、
 正々堂々将来の模範たるべき心組をもって 各部隊の乱入、友軍の相撃、
 不法行為等絶対になからしむべし。

二、部隊の軍規風紀をとくに厳重にし、中国軍民をして皇軍の威風に
 敬仰帰服せしめ、 いやしくも名誉を毀損するがごとき行為の絶無を期す。

三、別に示す要図にもとづき、外国権益、ことに外交機関には絶対に接近
 せざるはもちろん、 とくに外交団の設定したる中立地帯には、必要の外
 立入りを禁じ、所要の地点に歩哨を配置 すべし。また城外における中山陵
 その他革命志士の墓および明考陵には立入ることを禁ず。

四、入城部隊は師団長がとくに選抜したるものにして、あらかじめ注意事項、
 とくに場内の 外国権益の位置を徹底せしめ、絶対に過誤なきを期し、要す
 れば歩哨を配置すべし。

五、掠奪行為をなし、また不注意といえども火を失するものは厳重に処罰
 すべし。軍隊と 同時に多数の憲兵および補助憲兵を入城せしめ、不法行為
 を防止せしむべし。
(原文は平仮名でなくカタカナ表記)