■韓国人にも意外と“身近な問題”

もうひとつは、日本旅行が韓国人のなかでブームになっていることも関係しているかもしれない。

今年4月に日本を訪れた韓国人は55万4600人となっており、昨年の4月に比べて56.8%も増加したという。ものすごい増加率だ。

韓国のブロガーたちは日本旅行の好きなところを「どこに行っても定価」「細かな心遣い」などと挙げていたが、一般的には韓国と距離が近くて廉価なところが人気の理由と分析されている。

加えて、韓国人の56%が「日韓関係は今後良くなる」と考えているだけに、日本への旅行者が増えるのも自然な流れかもしれない。

ただ、日本に関心があるということはそれだけ気になることも多くなるということ。裏返せば、日本を訪れる韓国人が多いからこそ、現地の放射能事情について知りたいという要求が生まれているのかもしれない。

つまるところ、韓国人が日本の放射能事情に敏感なのは、「日本の食材を食べる」「日本に旅行する」などと、意外と“身近な問題”に起因しているとも言えるだろう。

■放射線量は東京よりもソウルが高い

ただ、その一方で韓国は世界でも原発が多い国のひとつであり、国土を考えると原発の密集度は世界一とも言われている。

過去には原子力発電所に偽造部品が使用されるなどという不祥事もあった。

そういった自国の不安定な原発事情も相まって、日本の放射能事情に過剰反応してしまう側面もあるのだろうが、冒頭でも紹介した韓国人の日本の放射能問題に対する関心は、やや本末転倒な気もする。

日本の放射線量の話もよく出るのだが、東京よりもソウルの放射能数値が高いというのがなんとも言えない皮肉でもある。

いずれにしても、日本の放射能事情にアレルギー反応を示している韓国。福島第1原発では約78万トンの“処理水”が敷地内のタンクにたまっているという。実際に処理水を海に放出するとなると、その過敏反応はさらに高まるような気がするのだが……。