【北京=藤本欣也】中国国営新華社通信は24日、中国共産党中央が重大な規律違反の疑いで、前重慶市党委員会書記の孫政才政治局員(53)を調査することを決定したと伝えた。習近平体制発足後、現職の政治局員の摘発は初めてで、孫氏の失脚が確定した。

 習国家主席(党総書記)としては、党の長老らとともに人事などを話し合う「北戴河会議」が今月末に始まるのを前に、孫氏の立件を既成事実化する狙いがある。長老らの反発も予想され、同会議は紛糾する可能性が出てきた。

 最高指導部メンバーの政治局常務委員が大幅に入れ替わる党大会を今秋に控え、権力闘争が激しさを増している。

 孫氏は農業の専門家で吉林省トップなどを務め、2012年から重慶市トップの同市党委書記に就任。胡春華・広東省党委書記(54)とともに、習氏の後継者候補の1人と目され、党大会で政治局常務委員に昇格するかが焦点となっていた。

 党中央は15日、孫氏の解任を発表。孫氏は14日、全国金融工作会議に出席するため北京入りした後、拘束されて党中央規律検査委員会の調査を受けているとみられていた。

 孫氏は、汚職で失脚した薄煕来・元重慶市党委書記の思想が重慶市で一掃されていないと批判されていたほか、夫人に関する不正腐敗事件の可能性も取り沙汰されている。

 孫氏の後任の重慶市党委書記には、習氏の側近の陳敏爾・貴州省党委書記(56)が起用されている。

http://www.sankei.com/world/news/170724/wor1707240038-n1.html

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3月、中国人民政治協商会議の閉幕式に出席した習近平国家主席(右)と重慶市前トップの孫政才氏=北京の人民大会堂(共同)
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3月、中国の全人代開幕式に出席した重慶市前トップの孫政才氏=北京の人民大会堂(共同)