被告の女が行方不明となったため、昭和47年2月を最後に審理が中断していた覚醒剤密売事件の控訴審が26日、広島高裁岡山支部(長井秀典裁判長)で被告不在のまま約45年ぶりに再開され、結審した。

 最高裁によると、全国の高裁で係属中の刑事裁判で最も古いケースとみられる。判決は8月9日。

 審理されているのは覚せい剤取締法違反や関税法違反などの罪で起訴された韓国籍の朴福蓮被告で、生存している場合は79歳。

 26日の公判は新たに選任された国選弁護人が出廷し、中断前に被告側が量刑不当を訴えて提出された控訴趣意書の内容を維持することを確認した。

 広島高検岡山支部などによると、44〜47年に3回の公判が開かれたが、被告が保釈中に韓国へ出国し、そのまま行方不明の状態が続いている。

 刑事訴訟法は被告に控訴審の出廷義務を課していないが、実刑となっても刑を執行できない可能性がある。広島高裁岡山支部は再開に関し「被告が行方不明であることは審理の妨げにならないと判断した」としている。

 一審岡山地裁判決によると、被告は40〜43年、兵庫県内で覚醒剤7.35キロを2人に計1189万円で譲り渡すなどしたとして、44年3月に懲役4年、罰金150万円の判決を受けた。

http://www.sankei.com/west/news/170726/wst1707260059-n1.html