>>1の続き)

 さらには、成分不明の胃がん薬、肺がん薬まで効果があるから飲めという。試験中の薬をこれほど一度に投与すれば、体が耐えられるはずがあろうか。どんな変調を来すか心配だ。飲みたくないと断ることもできない。

 これは実話だ。ある病院でとても人気がある医師がいた。患者が他の医師の数倍も殺到し、まるで教授扱いされた。「あの先生の薬を飲めば治る」というのが教理だった。同僚医師の一部はその秘密を知っていた。最終手段の処方で少量を、それも特定患者にしか使えない薬を乱発していたのだ。患者はその薬を飲めば気分が良くなった。

 しかし、徐々に副作用が積み重なり、薬をもらいに来た患者の目はうつろになり、よだれを流すようになった。それでもその医師は定年退職まで人気を集めた。責任も負わなかった。驚くべきことに患者はその医師を懐かしんだ。彼が出す薬なくして苦痛に耐えることができなくなったのだ。

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楊相勲(ヤン・サンフン)主筆

(おわり)