横綱・白鵬の快挙が、韓国で局所的な話題となっている。

白鵬は大相撲名古屋場所で優勝し、最多優勝記録を39回に更新。さらに通算勝ち星も1048勝とし、魁皇が持っていた1047勝の記録を塗り替えた。

このニュースは韓国でも報じられており、「歴代最多勝を達成したモンゴル出身の日本相撲選手・白鵬」(『聯合ニュース』)、「モンゴル出身相撲選手白鵬、歴代最多勝記録」(『REUTERS』)といった見出しが並んでいる。

「日本人になれってことだ!」

ただ、少し違った角度から報じるメディアもあった。白鵬の国籍に焦点を当てた報道が見られるのだ。

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(写真=KBS NEWSの報道)

「【特派員レポート】モンゴルの相撲王者…日本人になれってことだ!」と見出しを打ったのは『KBS NEWS』だ。
記事では、「白鵬は日本人ではなく、モンゴル出身だ」と説明し、「どう見ても日本人よりも相撲に温かい愛情を示している彼にとって、国籍に何の意味があるのだろうか」と前置きしつつ、「しかし、それは日本ではまた違う話であるらしい」と綴っている。

そして「日本の主要新聞は一斉に(最多勝記録に関する)報道を流し、白鵬が日本国籍を取得する考えであることを付け加えて伝えた」とし、

「白鵬本人のコメントはなく関係者の言葉を引用した記事たちでは“白鵬が引退後に本人の相撲部屋を開き後進を育成したがっており、今の日本相撲協会の規定上、そうするためには日本国籍でなければならない”と共通して伝えた」と強調。

『東京新聞』が「屈折したナショナリズム」だと皮肉った記事を引用し、白鵬の父がモンゴル相撲の元チャンピオンであることを挙げながら、「そんな父を持つ白鵬がモンゴル国籍を捨てることが簡単ではない状況だろうが、どうしてか日本メディアの態度を見ると、日本国籍を取得しろと追い立てるような印象を強く受ける」と伝えている。

「外国人選手の氾濫で根元が揺れている」

白鵬の帰化を促すような日本メディアの報道姿勢に疑問を呈す論調だが、『OBS NEWS』はその背景に踏み込んで分析している。

「日本の国技の相撲“根元が揺れて”」とヘッドラインを置いた記事は、日本の相撲界について「衰えていく人気と外国人選手の氾濫で根元が揺れている」と書き始める。

「相撲界は以前から外国人選手が氾濫している」としながら、今年1月に稀勢の里が白鵬を下して優勝したとき日本中が沸いたのは「稀勢の里が日本人で、白鵬がモンゴル人だからだ」と断言。

「相撲は国技であり民族精神が込められた文化だが、1999年以降、横綱になった日本人選手は一人もいない」と綴り、その理由として、日本の児童と父母は15歳から相撲部屋で厳格な生活を送りたがらないことと、巨大に見えるほど肉を付けなければならないことを挙げている。

そして日本政府が力士育成に力を注いでいることに触れ、「しかし1994年に7万人に迫っていた児童相撲大会の参加者は昨年には3万人余りに減っており、相撲界の現実をむごたらしく見せていた」と締めくくっている。

こうした背景があり、白鵬をはじめ外国人力士が台頭しているという分析だ。これは上述した白鵬の帰化を促す論調とも関係する話だろう。

いずれにしても、白鵬の快挙によって日本相撲界が韓国でも注目を浴びたことは間違いない。

果たして韓国は、今後も日本の相撲界にいぶかしげな視線を送り続けるのだろうか。

(文=S-KOREA編集部)

http://s-korea.jp/archives/18162