民進党の蓮舫代表は、再燃している自身の二重国籍の話題について「台湾との二重国籍でないことを証明する公式書類」を7月18日に公表するとしている。ただし「(公表する書類は)戸籍謄本では無い」とも発言している。

この原稿を書いているのは18日以前につき、公表時および公表後の様相については分からない。だが、そもそも「二重国籍」とはどういうことで、どういった人が二重国籍保持者で、当人の生活や人生にどんな影響がある/無いのだろうか。ここでは主に日本と、筆者が暮らすアメリカのケースを取り上げ、考えてみる。

※国籍法は複雑かつ国によって異なり、さらに折々に改変もされる。したがって本稿の内容はあくまで概要/概観であることをご了承ください

まず、世界には「二重国籍を認める」国と、「二重国籍を認めない」国がある。その統計を取っている公式機関はないと思われるが、ある民間資料(https://flagtheory.com/dual-citizenship/)によると「認める国」85カ国、「条件付きで認める国」51カ国、「認めない国」29カ国となっている(※)。

概して先進欧米諸国に認める国が多く、アジアには少ない傾向がある。具体的には米国、カナダ、メキシコの北米3カ国、イギリス、フランス、ドイツ(条件付き)、イタリア、スイス、スウェーデン、イスラエル、オーストラリア、ブラジルなどが認めている。日本、中国、タイ、インド、ノルウェー、ポーランド、サウジアラビアなどは認めていない。

韓国はかつての「認めない」から、2010年に「条件付きで認める」に法改正されている。

※合計数が世界の国数と合致しないのは詳細不明な国もあるためと思われる

出生による二重国籍

二重国籍となる理由(過程)は2つある。出生と市民権取得(いわゆる帰化)だ。

日本では日本国籍の親から生まれた子どもは自動的に日本国籍となる。現在は母親か父親のどちらかが日本国籍であれば子も日本国籍となるが、1984年(昭和59年)まではそうではなかった。父系血統主義をとっており、以下のように日本人女性が外国人男性との間に子をもうけた場合、子は日本人になれなかった。

1985年の改定以前に(B)のパターンで生まれた人たち(現在32歳以上)は国籍で苦労をしていると思われる。

A:父(日本国籍)+母(外国籍)=子(日本国籍)
B:父(外国籍)+母(日本国籍)=子(外国籍)

日本人が外国で出産した場合、出産した国が二重国籍を認めない国であれば、子は日本国籍のみとなる。アメリカのように認める国であれば、子は22歳まで二重国籍でいられる。

日本人がアメリカで子を生んだ場合、アメリカは国籍について「出生地法」をとっているため、子はアメリカ国籍となる。親の国籍や米国滞在資格は問われず、つまり親が短期滞在者や不法滞在者であってもアメリカで生まれた子はアメリカ国籍となる。

そのままではアメリカ国籍のみとなるので、親は子の誕生から3カ月以内に日本政府に子の出生を届けることによって日本国籍も得る。これにより子は日米の二重国籍となる。

その後、22歳までは日米のどちら(または他の国)に住んでも子は二重国籍者であり、パスポートも日米2冊を持つことができる。これが何を意味するかというと、その人物は「日本人であり、アメリカ人でもある」ということだ。

仮に日本に住んでいるとしても、アメリカの学校や大学に「留学」ではなくアメリカ市民として入学できるため、ビザを取得する必要がない。

しかし日本の法律では22歳までにどちらかの国籍を選ばなければならず、以後は二重国籍ではいられない。ただし米国籍を離脱しても、もしくはそのまま維持しても、米国政府は日本政府への通知は一切おこなわない。

ちなみに米国USCIS(米国市民権・移民業務局)は二重国籍者に対し、それぞれの国で、その国のパスポートを使うよう通達している。例えば、アメリカ在住の米日二重国籍者が日本に渡る際、アメリカ出国時に空港でアメリカのパスポートを提示し、日本の入国審査では日本のパスポートを提示する。

日本を出る時にはやはり日本のパスポートを見せ、アメリカの空港では米国パスポートによって入国する。

http://wezz-y.com/archives/49427

>>2以降に続く)