「認知バイアス」という言葉をご存知だろうか。

心理学用語で厳密な定義は複雑だが、一般的には、物事の本質に関係のない情報や他人の意見、自分の希望などによって事実を歪めることを指す。

例えば、行列ができている店を食べてもいないのに「おいしい店」と判断したり、「みんなが持っているから自分も欲しい」と感じたりするのは、認知バイアスの「バンドワゴン効果」によるという。

また、同じ2万円の商品でも「4万円の商品が今だけ50%OFFの2万円」と聞くと「お得」と感じるのも、認知バイアス(「アンカー効果」)によるものだそうだ。

一言で「勝手な思い込み」ということになるだろうか。

10人に9人が「認知バイアス」の現実

そんな認知バイアスに、韓国人の10人に9人が該当するという。

韓国保健社会研究院が発表した「韓国国民の健康状態と精神的習慣(Mental Habits)の現況と政策対応」(発行日2016年12月31日)という報告書がその根拠だ。

同報告書には、2016年9月、12歳以上の韓国人1万人を対象に行われた設問調査の結果がまとめられている。

ここでいう精神的習慣とは、「長い期間にかけて形成される精神的・心理的な特性」のこと。「うつや不安障害など精神疾患のひとつの症状でもあるが、精神疾患として診断されない状態でも、多様な否定的な精神的習慣を保有している可能性がある」という。

同報告書によると、「認知バイアス」に該当する5つの質問のなかで、ひとつ以上に「その習慣がある」と答えた韓国人は90.9%にも上った。

この事実に対して『ソウル経済』は、「自分の考えに閉じ込められて、見たいことだけを見て、自分の都合に合う結論を下す人が大多数という話だ」と指摘している。

5つの質問とその意味

同調査で実施された質問は、以下の通り。YESかNOかで答えるようだ。

質問@
何かを決定するときに他の人が自分の意見を聞かなかったら、無視されたと感じる

質問A
一を知れば十がわかると思う

質問B
何人かで話しているときに自分が近づいて話が止まると、自分の悪口を言っていたと考えてしまう

質問C
世の中のすべてのことは、善悪に分かれていると考えている

質問D
何かが起こったときに、最悪の状況を真っ先に考える

質問の意味と韓国人の傾向を見ていこう。

まず質問@は、「任意的推論(arbitrary inference)」についての質問。「ある事実を裏付ける根拠がなかったり、その根拠が事実に反したりしている場合でも、任意的にその事実を正しいと結論づけること」を意味する。

韓国人の45.7%が該当しており、男性(43.6%)よりも女性(47.7%)のほうが少し高かったようだ。

同じく質問Aは「選択的抽象化(selective abstraction)」に関するもので、「さまざまな情報のなかで、自分の考えや感情を正当化するための情報だけを選んで全体を解釈すること」。

韓国人の58.9%が該当し、男性56.8%、女性60.9%という結果が出ている。

質問Bは、「自分と関係のない事件や事実などを自分に該当することと考えること」。「個人化(personalization)」と呼ばれている。

39.7%の韓国人が該当しており、前出のものと比べると相対的に低いようだ。

http://s-korea.jp/archives/18665

>>2以降に続く)