韓国では夏になると反日・愛国映画が登場する。日本の支配から解放されたのが夏だからだ。映画界も夏休みと映画館での涼み客をあて込んで話題作を発表する。とくに反日・愛国モノはマスコミが飛びついてPRしてくれるから商売になる。

 今夏の話題作は戦時中に日本の炭鉱で働かされた朝鮮人徴用労働者を描いた『軍艦島』。

 劣悪かつ過酷な環境下でしいたげられた彼らが抵抗に立ち上がり、最後は日本側との銃撃戦まで展開し日本人をバッタバッタと撃ち殺し脱出に成功する。「日本とは戦って勝った」という、いつもの願望的な抗日勝利歴史観にもとづく活劇ドラマだ。

 しかし荒唐無稽な場面が多過ぎてあれではB級低俗映画である。島の炭鉱街には韓国人慰安婦もいて、大陸かどこかの慰安所で慰安婦が大きな金網の上で火あぶりにされるなどという回想シーンまで登場する。

 最後の戦闘シーンでは、抵抗を組織した隠れ抗日リーダーの青年(イケメンの人気俳優)が、火炎瓶で火だるまになった日本人責任者の首を日本刀ではね落とし「これで終わった!」と叫ぶ。

 1970年代から夏場の反日映画を見続けてきたが近年、歴史の“愛国商業化”で劣化が進んでいる。マスコミの宣伝につられ映画館に足を運ぶ観客が気の毒になる。(黒田勝弘)

http://www.sankei.com/column/news/170812/clm1708120007-n1.html

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韓国映画「軍艦島」のパンフレット