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 このような非道なAVがなぜ制作されるのか。ネット上のAV業者が”何をやっても良い”とタカをくくっているからこそ起きた問題であることは間違いない。

 未成年者が出演する、口車に乗せられた女性が強制的に出演させられるといった問題が続出しているのも、業者の低い遵法意識とモラルの無さ、金さえ稼げれば良いという、極めて身勝手な歪んだ性質に起因するものであることは火を見るより明らかだ。

 その身勝手な考え方は、偏狭な排外主義まで商売道具にするおぞましさだ。

 脱法だからと、このままでよいはずがない。趣味の追求では済まされないところまで、これらの動画は広がってしまった。この、恐ろしい世界は広がるばかりなのか。破綻が待っているだけではないのか。

 いびつな闇のネット世界が壊れる前に逃げだそうということなのか、ネット上に違法動画を供給し続ける脱法業者サイトの一部が「閉鎖」を宣言し始めた。

 今年に入ってからは、前述のような脱法業者や関係者の摘発が相次ぎ、日本当局も国家をまたいでの捜査に乗り出した。業者のケツ持ちに、指定暴力団や半グレ達が暗躍しているとの指摘も相次ぎ、いよいよその全貌が明らかになりつつある。

 泥舟から一目散に逃げ出したつもりだろうが、被害女性達の心の傷も、彼らの罪も、そして女性達の映像も、その映像にこめられた歪んだ思想も、永遠に消えることはない。

 「数年前に、撮影が原因の死人まで出した鬼畜系AV制作会社の関係者が、ネットの脱法アダルトサイトの制作にも関わっていると言われています。複数の強姦傷害の罪で執行猶予や、懲役を受けて出てきた連中が懲りずにやっているのです」

 AV制作会社の現役ディレクターが、筆者に打ち明ける。業界でもとくに悪辣なグループが行っているということらしいが、同業者や業界団体がけん制して制作をやめさせることはできないのか。

 脱法を隠れ蓑に、何ら悪意なき人々を陥れ、小銭だけを持ち去りあとは知らんぷり、そういったことは許されてはいけない。得をするのは卑劣な連中だけ、私たちにとって、社会にとって、一つもいいことがないということを、強調しておきたい。

(おわり)