VR(バーチャルリアリティー)は、人間の視覚や聴覚、触覚などの感覚を刺激し、あたかも現実であるかのような環境を創り出す技術だ。ゲームなどエンターテインメント向けはもちろん、医療、教育、建設、不動産などの分野でも導入が進んでいる。

 VRのヘッドセットでは世界的に韓国メーカーの存在感が大きい。サムスンは、自社スマートフォンを組み込んで使用するヘッドセット「Gear VR」を2015年に発売した。米国や日本を中心に売れ行きは好調で、17年1月までに全世界で累計500万台以上を出荷した。

 韓国メーカーのVR展開は、主にゲームなどエンターテインメント分野で盛んだ。韓国はオンラインゲーム大国として知られており、テーマパークやVR体験施設などの大規模な施設や、動く足場などを体感できる仕掛けがある筐体(きょうたい)を使った体験型のアトラクションが人気を集める。

 また、企業の持つゲーム・コンテンツや3DCG(3次元コンピューターグラフィックス)制作技術がエンターテインメント分野のVRに転用しやすいという側面もある。

 韓国政府も、VRを含む主要IT分野で今後5年間に4000億ウォン(約382億円)規模の投資を行うほか、未来創造科学省がVR市場創出のため400億ウォン規模のファンド創設を計画するなど、積極的な支援を行う。

 韓国のVR市場の規模は20年には5兆7000億ウォンに急成長すると期待されている。黎明(れいめい)期にあるVR市場では今後も激しい競争が続くと予想されるが、韓国メーカーは先進的な国内市場で支持を得たコンテンツを世界に展開するものとみられる。

 加えて、VRの活用はエンターテインメント以外の分野に広がっており、ジャンルを広げながら利便性の高いVRソフトウエアを提供できるかが韓国メーカー成功の鍵を握る。(編集協力=日本政策投資銀行)

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韓国の首都ソウルにあるサムスン電子の旗艦店で「GearVR」を体験する男性(ブルームバーグ)