韓半島出身の旧軍人・軍属死者名簿出版…新幹社創立30周年記念

新幹社(高二三代表、東京・千代田区)の創立30周年記念出版会と祝賀会が5日、東京の在日韓国YMCAで開かれ、出版関係者や在日同胞、外国人登録法改正運動に関わった日本の市民団体のメンバーら約100人が集まった。

編著者 構想から20余年

高代表は「3年前病気をして社の幕引きも考えたが、在日の出版社として悔いのない仕事をしようと決めた」と述べた。

節目の年に菊池英昭編著の『旧日本軍朝鮮半島出身軍人・軍属死者名簿』が発刊できたことについては、「この本を通じて反戦・平和につながると思う」と来場者に感謝を述べた。

同書は旧日本軍の軍人・軍属としてアジア・太平洋戦争に動員された朝鮮人24万3992人のうち、死亡した約2万2千人の名簿だ。編著者の構想から20余年、制作に3年半かかった。韓日の不幸な歴史にスポットを当てた一冊だ。

1部の記念講演会では、東京大学の外村大教授が「植民地朝鮮の徴兵制度」について、「1925年までは志願兵として募ったが、それ以降は徴兵対象にした。朝鮮人はなぜ日本のために戦争しなければならないのか、心に傷を負ったまま皇国臣民になることで朝鮮人への差別がなくなると考えた」と語った。

「しかし、日本政府は戦後『国籍条項』で朝鮮人に対しては軍人恩給を支払わなかった。日韓条約でも徴用者について議論はあったが、謝罪と償いもなかった」と戦後処理ができていないと批判した。

真宗大谷派南溟寺の戸次公正住職は「戦死者を記憶し訪うこと」と題して、「仏教者として日韓の歴史認識と和解について学んできた。昨今の誤った情報に基づいた嫌韓本やヘイトスピーチ、ネトウヨの存在は許されない。加害者としての戦争責任を考え、日韓に壁をつくるのではなく橋を架ける営みが大事だ」と強調した。

編著者の菊池氏は「戦争をするのは国家、民衆は戦争が嫌いだ」と自身の詩を朗読した。

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編著者の菊池英昭さん