人材サービス世界2位のランスタッド(オランダ)が世界各国で実施した労働者意識調査によると、シンガポールと香港の従業員の83%が「終身雇用の概念はなくなった」と転職を当然と考えていることが分かった。

マレーシアやインドで転職率や転職活動中の割合が欧米を上回り、東南アジアを中心に高い賃金や良い雇用条件を求めて職を転々とする傾向が強まっている。

調査は4〜5月に33カ国・地域で働く18〜65歳に実施した。「終身雇用はなくなった」との回答はポルトガル(86%)が最多。シンガポール、香港、チリが同率で続いた。

インド、中国、マレーシアも7割台後半で平均の73%を上回った。最も少ないのはルクセンブルクの53%。日本は72%で米国と同水準だった。

過去6カ月に転職した人の割合はマレーシアとインドで33%と最も高かった。シンガポール、香港、中国も米国と並んで上位を占めた。

別の職に応募するなど転職活動中の割合はインド(41%)、シンガポール(37%)が米国、英国を抑えてトップ2だった。欧米に比べてアジアで転職意欲が高い現状がうかがえる。

同社でシンガポール、香港、マレーシアを担当するマネージングディレクターのマイケル・スミス氏は「職能を最も引き出せる組織が求められる」と指摘。人材確保のため、再訓練や異動機会の積極的な提供に乗り出した会社も多いという。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM08H6Q_X10C17A8FF1000/