韓国の与党「共に民主党」所属の朴光温(パク・クァンオン)議員は20日、全ての法律において「勤労」という用語を「労働」に変更する12の法律改正案を代表として提出したと明らかにした。

「勤労者」は「労働者」に、また「勤労時間」「勤労契約」はそれぞれ「労働時間」「労働契約」などに変更するというのだ。朴議員は法改正の理由として「勤労という言葉は日帝時代(日本による植民地支配時代)の遺物だから」と説明している。

雇用労働部(省に相当)の金栄珠(キム・ヨンジュ)長官も「(勤労者を)労働者に見直したい」とすでに発言している。

「勤労」という言葉を「労働」に見直すことには確かにそれなりの理由があるのかもしれない。しかしその本質が「働くこと」である点に変わりはない。

ただし韓国社会における今の問題は「労働」か「勤労」かではなく「仕事」と「雇用」をいかに守り、そして増やすかという点だ。言葉だけを100回見直したとしても、労働分野をはじめとする社会の構造改革が行われなければ、雇用はいつまでたっても改善しない。

今の問題の核心は時代遅れとなった労働市場と労使関係をいかに改革するかであり、それによって雇用を増やし経済を再び成長させなければならない。ところが韓国における労働問題は旧態依然のままであり発展途上国型だ。

スイスの国際経営開発研究所(IMD)は韓国の労働市場を世界で52位、労使関係を62位と分析しており、国際的に比較しても非常に遅れていることをすでに指摘している。

大企業の正社員は中小企業の社員に比べて2倍近い賃金を受け取るだけでなく、雇用の安定性も非常に高く、中には雇用の世襲まで認める企業もある。

しかも大企業の労働組合が中心となっている韓国の2大労働組合連合会は、毎年7−8%の賃金引き上げを求め労働争議を繰り返している。先週も平均年収が9000万ウォン(約860万円)を上回る現代自動車労組が部分ストを強行し、会社は3000億ウォン(約290億円)以上の損失を出した。

経営難で韓国からの撤収もうわさされる韓国GMでも、労働組合は賃金の引き上げを求めストを繰り返している。

現政権が最も力を入れる非正規社員の正社員化や若年失業問題は、いずれも労働改革なしには解決しない。大企業の正社員労組が持つ既得権を見直さない限り、若者の雇用も改善しないし非正規社員の待遇も改善されない。

ところが政府は労働改革に向けた意思もなく、あるいはビジョンも全く示せていないことに加え、前政権が取り組んだわずかな改革への取り組みさえ後退させている。

具体的には、成果を出せない社員の解雇を認める「二大指針」を廃止し、公共部門の成果年俸制も白紙化するという。このように労働改革を後退させ、企業にばかり負担を強いる政策を次々と打ち出しながら、その一方で自分たちを「雇用政府」などと自画自賛しているのだ。

労働運動の分野ではゴッドファーザーと言われる周大煥(チュ・デファン)元民主労働党政策委員長は週刊朝鮮とのインタビューで政府に苦言を呈している。周氏は政府に対し「組織化された一部労働者の堅い既得権を壊すという大きな課題を放置している」と批判する。

過保護を受ける上位10%の大企業正社員と、疎外された残り90%の中小企業社員や下請け企業の労働者という二重構造をこのまま放置しているようでは、韓国における労働問題はいつまでたっても解決しない。

これと関連して周氏は「政府は大企業労組の既得権には手をつけられず何もできていない」とも指摘する。労働改革という根本問題を放置し、言葉だけをまずは見直すという発想は、すでに誰からも忘れられた大統領執務室の「雇用現況板」と同じく、単に見せることだけが目的と言わざるを得ない。

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