中国のネット政策は正しい

YouTubeをはじめ、後に大きく成長するウェブサービスには、黎明期から大量の日本人ユーザーを抱えていたという共通項がある。日本人にある種の先見性のような感性があるのは、単純に子どもっぽい集団だからではないか。

人間も含め動物は皆、幼体時は可能性を広げるために好奇心を強く持つが、成体になるにつれ生存率を上げるために冒険しなくなる。

ところが日本人はネオテニー(幼生の外見のまま性的に成熟する)の度合いが高いというか、好奇心を残したまま大人になるようだ。デジタルツールを好んで買うのも同じ理由だろう。

ネットの影響力が高まる一方の今、国家の立場を考えると、このインフラをきちんと管理したいと思うのは間違いない。主要国の中で唯一それを実現したのが中国。

僕は何度か「中国の政策は正しい」と発言し、ネット界隈(かいわい)を“炎上”させている。倫理的に正しいとか、その戦略を支持するという意味ではないが、国家として非常に合理的な行動だということだ。事実、米国以外で巨大プラットフォームを持てたのは中国だけだ。

GAFAのうちどの企業が今後5年、10年と競争力を維持できるか?

それは本当に予想できない。僕自身は、グーグルの勝利を期待しているところがある。なぜならグーグルは理想主義者の集団で、経済原理を超えたところから何かを仕掛けてくる企業だから。

対照的なのはアマゾン。彼らがいちばん、経済原理に基づく正しい戦略を展開している。流通業として「サイバー上のウォルマート」を作ろうとしているのだろうが、その席は1つしかないから、そこをめぐってありとあらゆる手を講じている。

(聞き手・週刊東洋経済:杉本りうこ、長瀧菜摘)

https://dot.asahi.com/toyo/2017082100084.html