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北朝鮮がグアムへの攻撃に言及した2013年、米軍は島を守る高高度防衛ミサイル「THAAD」を配備した。設置場所はアンダーセン基地の北西に広がる軍用地とみられる。延々と続くフェンスのあちこちで「軍用犬チームの巡回地域」との警告が目に付く。

グアムが持つもう一つの顔が、弾薬の保管拠点としての機能だ。世界最大で、弾薬の総額は約13億ドル(約1400億円)に達するとされる。

詳細な場所は公開されていないが、地元の人に案内されて遠方から眺めた場所には、空爆を避けるため半地下となった保管庫の入り口が並んでいた。

拓殖大海外事情研究所の佐藤丙午副所長は、「グアムは米太平洋戦略の中心的存在だ」として、米軍が中国などアジア広域ににらみを効かせる要衝だと指摘する。朝鮮半島などで軍事紛争が発生した場合、弾薬の供給拠点となる。

空爆を恐れる北朝鮮指導層にとって、脅威である地下貫通爆弾「バンカーバスター」もグアムの第36軍需支援隊が扱っており、北がグアムを敵視するもう一つの理由だともいわれる。

■地元に支えられる米軍

米海兵隊の駐留拠点となる島だという点で、グアムは沖縄と比較される場合がある。だがアンダーセン基地の地元、ジーゴ地区のマタンナニ区長は「私たちは米軍を支持している。島を守ってくれる軍隊だからだ」と話す。

グアム先住民族のチャモロ人を先祖に持つ人々の間では、土地を奪った米国に対する複雑な思いがある。重要な軍事基地として土地を提供しても、大統領選にすら投票できない米準州の扱いのままだ。

チャモロ系の子孫であるマタンナニ氏は、それでも「北朝鮮のような国に島が奪われるより、米軍といる方がよほどハッピーだ」と話す。

(おわり)