>>1の続き)

担当部署の外交部は7月31日、外交部長官の直属として「韓日日本軍慰安婦被害者問題の合意検討タスクフォース」を発足させた。2015年に実現した慰安婦合意の成立過程や内容に対する検証と評価を調査した上、年末までには結果を発表するという。

これに先立って女性家族部は7月27日、慰安婦合意によって設立された「和解・癒し財団」について活動全般にわたる点検団を設置し、財団活動にブレーキをかけた。

鄭鉉栢(チョン・ヒョンベク)女性家族部長官は「8月末までをめどに評価を終え、その時点で新たに財団の運営方針を発表する」と明かし、財団解体の可能性を示唆した。

文在寅政権の発足により、慰安婦関連団体や韓国国民は慰安婦合意の再交渉に対する期待感を膨らませている。特に今年の光復節の大統領スピーチに於いて、文大統領がこれに対する確固たる意志を明らかにしてくれることと期待している。

しかし韓国政界やマスコミでは、文在寅大統領が「慰安婦合意の再交渉」カードを安易に取り出しはしないだろうという意見が多い。

何よりも日本政府が再交渉に応じるはずがないばかりでなく、北朝鮮の挑発が続いている状況で、米韓日の協力体制に冷や水を注ぐことになる問題をあえて取り上げないだろうという分析だ。

韓国外交部でも、「再交渉」よりは「合意の補完」という方向での問題解決を大統領府に進言している。

文在寅大統領は選挙戦中、朴槿恵政権の慰安婦合意について「外交的惨事」「違憲」などと厳しく批判し、慰安婦合意の再交渉を大統領選挙の公約に掲げていた。

しかし、当選後は一度も慰安婦問題に対する再交渉を取り上げたことも、その意思を明らかにしたこともない。文在寅政権の国政企画諮問委員会が作った「文在寅政府の5ヵ年計画」にも慰安婦問題の再交渉という文言は見当たらない。

その代わりに「慰安婦問題については、被害者と国民が同意できる解決策を見出す」という、原則論的な内容を盛っただけだ。

日本との関係改善を望んでいる文在寅政府の慰安婦問題の解決策は、韓国の国民を満足させることができるだろうか。今年の光復節の文大統領のスピーチに韓国国民の期待が集まっている。

金 敬哲 (ジャーナリスト 在ソウル)

(おわり)