「第30回記念JAPANTENT―世界留学生交流・いしかわ2017」(同開催委員会主催、北國新聞社特別協力)は22日、台湾などの留学生25人が金沢市花園地区出身で台南の治水事業に尽力した八田與(よ)一(いち)技師の生家を訪ねた。

今春、台南・烏山頭(うさんとう)ダムで技師の銅像が壊される事件があったが、留学生は技師の偉大な業績や人柄に触れ、揺るがぬ石川と台湾の固い絆をあらためて実感した。

生家では八田技師の兄の孫章子(あやこ)さんが、紙芝居で技師の幼少期を紹介した。

4月に切断された銅像の頭部が5月8日の墓前祭までに修復されたことに触れ「すぐに直してくださって、台湾の人に感謝しています。直った後は柔和な顔になったように感じました」と述べた。「すみませんでした」と声を上げる留学生もいた。

墓前祭が70年続いているのは台湾の人のおかげだとし、「シェーシェーダージャー(大変ありがとうございます)」と謝意を伝えると、留学生たちが拍手した。

陳宣儒(チェンシュアンジュ)さん(23)=京大=は「教科書に載っている歴史の偉人の家に行くことができ、とても感動した。八田技師のことがよく分かった」と話した。

銅像損壊については「同じ台湾人として恥ずかしく思う。日本人には、台湾人はみんなそんな人じゃないと知ってほしい」と強調した。

「銅像が壊された直後、台湾の元留学生たちから『お父さん、ごめんなさい』ってメールが来たんやわ」。ジャパンテントで花園プログラムが始まった2009年からホストファミリーを務めている皿井文夫さん(66)=岸川町=はそう笑った。

留学生が花園地区を再び訪れたり、皿井さんが台湾を訪ねて元留学生と会うなど、行き来が続いており、今年の百万石まつりにもOGが遊びに来たという。

皿井さんは「この8年でずいぶん交流が盛んになり、輪が広がった」と語り、大事に育んできた花園と台湾の縁に手応えを語った。

八田技師の母校である花園小では、多くの留学生が八田技師の胸像の前で記念撮影した。児童約70人が一行を出迎え、一緒に八田技師をたたえる歌「嗚呼(ああ)!フォルモサダムの父」を歌ったり、餅つきをしたりして交流した。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170822-00515282-hokkoku-l17

http://amd.c.yimg.jp/amd/20170822-00515282-hokkoku-000-4-view.jpg
八田技師の胸像に見入る留学生=22日午前10時、金沢市花園小