>>1の続き)

一方、中国としては、韓国が米国主導の東アジアのミサイル防衛(MD)体系に編入され、米国が追求してきた韓日米安保協力の強化が「三角同盟化」することをただ手をこまぬいて見ているわけにはいかない。中国はこれを自国を牽制するための米国の東アジア戦略の一環と見ているからだ。

■韓中の戦略的協力は可能か?

当初、文在寅政権は南北関係を改善し、これをテコにしてTHAAD問題を解決するという構想を持っていた。文大統領は昨年5月に特使を送り、このような論理で中国を説得しようとした。

当時の事情に詳しい外交消息筋は「中国は北朝鮮の核問題とTHAADを別問題として分離してアプローチするのが原則であるため、他の案が必要だという立場を示した」と伝えた。

多くの専門家は韓国と中国間の冷却機が相当期間持続するだろうと予想している。文在寅政権がTHAAD配備を既成事実化した状況である上、習主席の首脳会談での発言からして、今秋、中国の第19回党大会が終わってからも、すぐには関係改善のきっかけを掴むのは難しいということだ。

政府の立場も大きく変わらないようだ。

大統領府関係者は「THAADに対する韓国政府の立場が変わるか、それとも中国が第19回党大会以降、周辺環境に対する再評価作業を行わなければならないだろう」とし、「このような状況で、政府が積極的な措置を取るのは難しい」と話した。

匿名を希望した元政府高官は「現在(THAAD問題に対する)政府の対応は安易で無責任だ」だと指摘した。

文在寅政権にとって、この局面の長期化は交易1位を占める中国の“経済報復”が続くという意味だ。すでに韓国経済のいたるところで確認される被害は、今後さらに大きな打撃につながる見通しだ。

キム・フンギュ所長は「大統領府が、現在、韓中関係が直面した深刻性を直視する必要がある」としたうえで、「政府が対応策の模索に乗り出さなければならない」と助言した。

キム・ジウン記者、北京/キム・ウェヒョン特派員


25周年を迎えた韓中経済関係…「逆転の岐路」

合成樹脂の交易史を振り返ってみると
中国の開発ブームに乗って増加し2009年にピーク迎え
主力産業のうち最も競争が激しかったのに
今や中国製の供給過剰で頭を悩ませている

http://img.hani.co.kr/imgdb/japan/news/resize/2017/0822/150340869366_20170822.jpg
THAAD(高高度防衛ミサイル)配備問題で中国への自動車輸出も大きな打撃を受けている。京畿道平沢港に輸出用自動車が並んでいる//ハンギョレ新聞社

「2000年代初めに中国経済ブームを乗って石油化学メーカーは先を争って汎用合成樹脂の生産を大々的に増やした。中小射出成形メーカーも巨大な中国市場に向けた熱気に包まれたのは同様だった。

合成樹脂の原料である高密度ポリエチレン(HDPE)を石油化学会社が先を競って購入し、赤いゴムタライまで中国輸出用に作って売るほどだった」

ある石油化学メーカー関係者の言葉だ。ポリエチレンは「パレット」と呼ばれる白いコメ状の粒で、各種プラスチック製品の原料だ。国内化学会社は、中国に高度の技術が必要ない汎用製品を輸出して急成長を遂げた。

22日、韓国貿易協会資料によると、高密度ポリエチレンの対中国輸出は1992年の16万800トンから2000年には45万3千トン、2009年には84万1千トンと、史上最大の業績を上げた。

プラスチック工業協同組合連合会は「中国経済が二桁成長を続けていた2000年代半ばに中国現地でプラスチック加工の需要があまりにも多かった」と話した。

しかし、好況はそう長くは続かなかった。輸出は2010年(70万トン)から減り始め、昨年は54万2千トンまで激減した。「中国特殊」は昔話となった。中国の合成樹脂自給率が80%台にまで高まり、今はむしろ中国産の供給過剰問題で業界が苦境に立たされている。

昨年、中国輸出額が2兆9千億ウォン(約2800億円)に達するロッテケミカル側は「中国に合弁法人の1社と子会社4社があるが、中国内の生産事業は規模が小さく、現地発生の売上は微々たるもの」だと話した。

石油化学メーカーの浮き沈みは最近、中国市場でシェアを失っているサムスン電子のギャラクシーと現代自動車などにも現れている。

数年前まで中国の携帯電話市場の30%台で1位を占めたサムスン電子の携帯電話はもう5位圏からも離れ、一時期は「現代スピード」という言葉が登場するほど急成長した現代自動車も最近、販売が減っている。

中国の背中に乗って、完成品はもとより、中間財も好況を享受していたが、今や共に苦戦を強いられている。

(続く)