日本人の退避計画 独自入手

北朝鮮のミサイル発射をめぐり、緊迫した状態が続く中、不安を募らせているのが韓国に滞在する日本人。もしものとき、どこへ逃げ、どう助け出すのか。日本政府の計画が、FNNの取材で明らかになった。

北朝鮮メディアが23日、報じたのはICBM(大陸間弾道ミサイル)を生産する研究所を視察する金正恩(キム・ジョンウン)委員長の姿。金委員長の動静が伝えられるのは、8日ぶり。

朝鮮中央テレビは「(金委員長は)固体燃料エンジンとミサイルの弾頭を量産すべきだと指示した」と報じた。さらに、写真に写っている展示物の中には、水中戦略弾道弾「北極星3」と書かれたものがあるのがわかる。

2016年8月と2017年5月に発射された中距離弾道ミサイルの改良を進めているのか。

笹川平和財団の小原凡司特任研究員は「アメリカがいかに北朝鮮に圧力をかけようと、北朝鮮は核兵器の開発を諦めることはないのだというシグナル。(ミサイルを)増産させるということは、配備するミサイルをより増やすという意味」と話した。

23日午後2時すぎの韓国・ソウル市内。かすかに聞こえるサイレンの音。23日は、全国民を対象に韓国全土で行われる、北朝鮮による攻撃などを想定した大規模避難訓練の日。

ソウル市民は、「(サイレンは)聞こえませんでした。食堂でご飯食べていて」、「(訓練は)知らなかった。海外から戻ってきたばかりで知らなかった」などと話した。

訓練に慣れてしまったのか、韓国の国民には、危機感がほとんど感じられなかった。

一方、朝鮮半島の有事に危機感を募らせているのが、ソウル市内にある児童およそ420人が通う日本人学校。この日、校内で行われたのは、抜き打ちの避難訓練。休み時間の子どもたち。

すると、サイレンが鳴り始め、指示を受けて速やかに移動する子どもたち。

今、ソウルの日本人学校では子どもたちが体育館への一斉避難を始めた。ソウル日本人学校では、朝鮮半島の有事に備え、全校生徒を対象にした避難訓練を定期的に行っている。

先生の誘導で、子どもたちが向かったのは体育館。小学校に上がる前の幼児たちも、先生に連れられ、1列で体育館に移動した。

避難を指示する放送が流れてから、体育館に全校生徒が集まるまでかかった時間は、およそ5分。ソウル日本人学校の田中栄一校長は「皆さんの命を守るための訓練です。いいですか」と話した。

学校側は、子どもたちに「自分勝手な行動はとらない」、「先生の指示に従う」の2つを守るよう指導しているという。田中校長は「(北朝鮮の有事の際というのは心の中にある?)そうですね。いつも危機感は持っています」と話した。

危機感を募らせる声は、そのほかの在留日本人からも。韓国に住む日本人は「リュックサックを持っていけるように、荷物をまとめている。(備蓄はしている?)水とかは、あった方がいいと言われている」と話した。

こうした中、朝鮮半島有事に備え、日本政府が検討を進める退避計画が、FNNの取材で明らかになった。

観光や仕事で韓国に滞在している日本人は、およそ5万8,000人。北朝鮮による韓国への大規模攻撃など、危険レベルが最も高くなった場合、避難する場所は、地下鉄の駅の構内など韓国全土におよそ1万8,000カ所あるシェルター。

駅の構内には、日本の駅には見られないものも。救急用品が入った保管箱。

ソウル地下鉄「二村村」のパク・チュオ次長は「この中にマスクと2リットルの水、タオルがあります」と話した。銀色の袋に入った、火災用緊急退避マスク。

日本政府は、事態が沈静化するおよそ72時間を目安に、ここで身を守るよう促している。

しかしその後、在留日本人をどう韓国から脱出させるのか、課題が残っている。

小原特任研究員は「自衛隊は、韓国領土内で邦人保護にあたることは、ハードルが高い」と話した。

http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00368109.html