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その上でキム氏は「(韓氏は)すでに判決が確定しているので、これ以上のコメントは差し控えたい」と述べた。

これに先立ち与党・共に民主党の秋美愛(チュ・ミエ)代表は「(韓氏についての)起訴も間違っていたし、裁判も間違っていた」などと主張していた。

イ・オクチン記者


【社説】最高裁判決をののしる韓国与党の厚顔無恥

違法な政治資金を受け取ったとして懲役2年の有罪判決を受け、昨日出所した韓明淑(ハン・ミョンスク)元首相について、与党「共に民主党」が党としての論評の中で「李明博(イ・ミョンバク)政権による政治報復から始まった捜査で、裁判も間違っていた。

この事実はすでに天下に示された」などと主張した。同党の秋美愛(チュ・ミエ)代表も「朴槿恵(パク・クンヘ)政権では司法も政権の意向に従った」として裁判所に批判の矛先を向けた。秋代表は前日にも「韓元首相に対する起訴も裁判も間違っていた。

司法改革の必要性を改めて示す裁判だった」などと発言している。

韓氏の事件をめぐるこの裁判は特別な争点もなく、単に建設会社の経営者から3回にわたり総額9億ウォン(現在のレートで約8700万円、以下同じ)を受け取った容疑だけだった。

後にこの経営者は会社が不渡りを出したショックで入院したが、その際、韓氏は見舞いに行かず女性秘書を通じて2億ウォン(約1900万円)を返した。

韓氏の事務所関係者は「9億ウォンのうち6億ウォン(約5800万円)は受け取っておらず、3億ウォン(約2900万円)は女性秘書が個人的に借りたもの」などと主張した。

ところが業者から渡った1億ウォン(約1000万円)の小切手を、韓氏の妹が家を借りる際の保証金として使っていた事実が後から確認された。現金やドル紙幣をかばんに入れていた企業側の経理担当者も「韓氏に送られる資金だと聞いていた」と証言した。

その結果、大法官(最高裁判所裁判官)13人のうち全員が3億ウォンについては有罪を認め、残り6億ウォンについては8人が有罪、5人は無罪と判断が分かれた。企業から現金を受け取ったことも問題だが、首相まで務めた人物が後からすぐばれるうそをついたのだ。

少しでもプライドがあるなら恥を知るべきだ。

政権と検察が政治的な目的で捜査を行うケースは確かにある。この事件で韓氏は自分たちがその標的になったと主張しており、検察はこれを否定している。

しかしたとえ韓氏が標的になったとしても、現金を受け取った事実については反省するのが大物政治家として取るべき態度ではないのか。

韓氏に対する判決が大法院(最高裁判所)で確定した2015年8月、当時「新政治民主連合(共に民主党の前身)」の代表を務めていた文在寅(ムン・ジェイン)大統領は

「司法だけは正義と人権を守るとりでになることを期待していたが、その期待が裏切られた。裁判所まで政治に加担している事実は懸念せざるを得ない」とコメントした。韓氏に対する判決は5年1カ月にわたる審議と3回の裁判で激しく争われた末に確定した。

その過程で韓氏の偽証も明らかになったが、これに対して韓氏側は「裁判所が政治化した」という言い訳に終始した。現金も自分たちが受け取るのは問題ないが、他人は受け取ってはならないのだろう。

現政権の関係者による「私がすればロマンス、他人がすれば不倫」(同じことをしても自分に対しては甘く、他人に対しては厳しく非難するという意味)の態度はもはや際限もなく、普通の人間なら聞いてあきれるほどだ。

裁判で不利な判決が出れば司法を脅迫する人間たちが今政権を握っている。司法の独立を危うくし、裁判の権威を否定する発言が権力者の口から公然と語られる現状も懸念せざるを得ない。

最近は与党と同じ考え方を持つ若い裁判所長が大法院長の候補に指名されるなど、司法の大々的な刷新も目前に控えており、これに伴い現政権の任期中に大法官がほぼ交代する予定もあるようだ。

このような状況で与党関係者が裁判に口を挟めば、これは裁判官らに「言うことを聞け」と脅迫しているようにしか聞こえない。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/08/24/2017082400946.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/08/24/2017082400946_2.html

(おわり)