韓国唯一の航空宇宙関連企業の韓国航空宇宙産業(KAI)に暗雲が立ち込めている。防衛産業不正関連の検察捜査が長期化して海外受注が中断し、資金融通に困難を経験している。その上こうした経営難を収拾すべき指令塔は1カ月以上にわたり空席だ。

KAI高位関係者は23日、「結論なく疑惑だけが提起され続け、貸し剥がしや貸し渋りの動きが出始めた。社内ではこうしたことでは黒字倒産(一時的資金事情悪化による不渡り)する恐れもあるとの話が出ている」と話した。

彼は「われわれはグループ体制ではなく資金調達に限界がある。こうした状況が9月まで続くなら黒字倒産も排除しにくい状況だ」と話した。

検察は先月14日に国産ヘリコプター「スリオン」の原価水増しなどの疑惑からKAI本社とソウル事務所を家宅捜索した。

社長のポストは7月20日にハ・ソンヨン社長が辞任してから1カ月以上空席だ。今月に入ってから金融監督院のKAI精密監理で粉飾決算疑惑問題が膨らみ「信用リスク」まで頭をもたげている。

最近ナイス信用評価や韓国信用評価などの格付け会社はKAIを「引き下げ検討等級監視対象」のリストに上げた。

21日基準でKAIの社債発行残高は6000億ウォン(約578億円)、コマーシャルペーパー(CP)は3500億ウォンだ。8月満期到来分を除いた社債とCP残高は6900億ウォンに達する。

新韓金融投資のキム・サンフン研究員は、「残った発行残高を安定的に償還するためには何より検察捜査と金融監督院の監理と関連した不確実性が解消されなければならない」と指摘する。

実際に検察捜査以降下半期に予定されたスリオンの納品と輸出が全面中断するなど事業も影響を受け始めた。今年初めに7万ウォンを超えていたKAIの株価は22日現在4万750ウォンと40%以上下落した。

「不正疑惑」が続く場合、今年末に決定される最大38兆ウォン規模の米空軍高等訓練機交替事業入札戦にも不利に作用するものとみられる。

危機感が大きくなりこれまで息をひそめてきたKAIは自助策に入った。

KAI労組は23日に青瓦台(チョンワデ、大統領府)を訪問し、「処罰する人は早く処罰した上で、事態が長期化し会社自体が厳しくなる状況は防いでほしい」という内容の声明書を伝達した。チャン・ソンソプ社長代行と役員は株価防御のため自社株買い入れに出た。

学界と国防界も声を出し始めた。韓国航空宇宙学会は24日に韓国科学技術院(KAIST)で「スリオン事業の成果と課題」を主題にワークショップを開催し、監査院のスリオン結果と関連してパネル討論を行う。

国防部もやはり今月末に専門家らを招いてスリオンの欠陥の有無と韓国の防衛産業研究開発問題などについて討論し、結果を関係機関と共有する方針だ。

KAI本社がある慶尚南道泗川(キョンサンナムド・サチョン)の地域経済団体である慶南商工会議所協議会は21日にKAIの早期経営正常化が必要だという建議文を青瓦台、産業通商資源部、国土交通部に送った。

慶南商議関係者は、「そうでなくても巨済(コジェ)・統営(トンヨン)で造船業が厳しく地域経済が良くないのに泗川と晋州(チンジュ)など西北圏航空産業協力会社100社余りが打撃を受ける状況に置かれた」と話した。

KAI経営正常化のために社長選任から急がなければならないという指摘も出る。

しかしKAIの筆頭株主(26.4%)の輸出入銀行が金融監督院から「リスク評価」を受けている上に中小ベンチャー企業部長官など新政権の主要人選もまだ終わっていない状況でKAI社長の選任はずれ込む恐れがある。

KAIは1999年に当時の大宇重工業、サムスン航空、現代宇宙航空の航空3社の航空機部門が統合して設立された。

当時大企業は初期投資費用が多くかかり投資回収期間も長い航空産業を避けていたが通貨危機後に韓国政府がビッグディールと呼ばれる大規模事業交換を推進して設立された。

http://japanese.joins.com/article/639/232639.html

>>2以降に続く)