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その具体的な戦略は、例えば一つのシングルでも、それぞれ異なる生写真が封入された数種類のパッケージを用意し、特典を手に入れるために大量に購入してもらうというものだ。

いわゆる“AKB商法”と呼ばれるこの販売戦略が、現在は韓国のアイドルの間で主流となっているわけだ。前出の『国民日報』の記事は次のように伝えている。

「アイドル音楽の消費者たちがCDを購入する理由は、多くの場合、音楽を聴くためではなない。CDに封入されているスターたちのポストカードを収集し、サイン会に応募するための道具としてCDと買っている」

実際、韓国で販売されているアイドルのCDを見ると、AKB48と同じように、同じ曲が収録されたCDでも別の特典が付いているものが多い。

例えば日本でも人気のTWICEの最新アルバム『SIGNAL』は3種類発売されており、特典のフォトカードも27種からランダムで封入される仕様となっている。

同記事は、現在は購入したCDから特典だけを抜き取って、肝心の楽曲が納められたディスクのほうは中古CDショップに売ってしまう人々も溢れているとしながら、こう締めくくっている。

「音楽が収録されたものではなく、ただの写真集に落ちぶれたというのがCDの現状だ」

かつて日本でも、AKB48のCDが「総選挙」の投票権だけが抜き取られて大量に捨てられていることが物議を醸したことがあったが、韓国でも同じような現象が起こっているのである。

「CD離れ」と「CDの売上増加」という矛盾した状況の裏には、こうした問題が隠れているわけだが、今後もこの現象は続いていくのだろうか。

(文=李 仁守)

(おわり)