民進党代表選(9月1日投開票)では、安全保障に関する議論が低調だ。出馬した前原誠司元外相(55)と枝野幸男元官房長官(53)は29日、北朝鮮による弾道ミサイル発射をそろって非難したが、集団的自衛権の限定行使を容認する安全保障関連法を「憲法違反」と断じ、全部または部分的な廃止を求める姿勢を変えていない。

前原氏「許し難い暴挙だ。政府に対し、協力すべきところは協力するスタンスで臨みたい」

枝野氏「日米同盟を中心に関係諸国と連携を深め、専守防衛の範囲内で毅然(きぜん)と対応を取るべきだ。具体的な安全保障論は今の自民党と大きな差はない」

両氏は29日、日本外国特派員協会(東京都千代田区)の記者会見に臨み、対北朝鮮政策では政府・与党と協調する姿勢を示した。

言葉とは裏腹に、北朝鮮の脅威に立ち向かうため日米同盟をどう深化させるかについては、両氏とも政府と立ち位置を異にする。

北朝鮮は日本列島を飛び越し、米領グアム島周辺に弾道ミサイルを撃つと予告している。政府は安保関連法の要件を満たした場合、集団的自衛権を行使し迎撃は可能というスタンスだ。

しかし枝野氏は21日「撃ち落とさなければ壊れてしまうほど日米同盟は脆弱(ぜいじゃく)なのか」と否定的な見方を示した。前原氏も「日本に撃ち落とす能力は現時点でない。今議論するのは現実的でない」と言葉を濁した。

前原氏は、平成27年に再改定した「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」を尊重する姿勢を示すが、安保関連法の廃止方針との整合性は「政権を取ったときに検証したい」とあやふやに答えるだけだ。

枝野氏に至っては、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古沖への移設について、見直しも視野に「検証と研究を始める」と明言する。どちらが勝利しても、民進党の安保政策に大きな変化はなさそうだ。(豊田真由美)

http://www.sankei.com/politics/news/170830/plt1708300008-n1.html
http://www.sankei.com/politics/news/170830/plt1708300008-n2.html

http://www.sankei.com/images/news/170830/plt1708300008-p1.jpg
民進党代表選候補の安全保障に関する主な発言