[北朝鮮ミサイル] 危険な挑発繰り返すな

日本の安全を脅かす危険極まりない挑発行為である。断じて許すことはできない。

北朝鮮が発射した弾道ミサイル1発が北海道襟裳岬の上空を通過し、太平洋に落下した。先週末にも日本海に向け短距離ミサイル3発を連続発射した。

北朝鮮は今月に入り、グアム近海への弾道ミサイル発射計画を打ち出し、米国との緊張を一気に高めた。金正恩朝鮮労働党委員長は発射計画を見送っているものの、米国が対話に乗り出さないことに焦りを感じてさらなる挑発活動に出たのだろう。

北朝鮮の狙いは、米国に対し敵視政策や圧力路線の撤回を迫ることにある。米国と連携する日本をけん制する意図も明白だ。

朝鮮半島情勢の緊張をエスカレートさせ、米国の反応を見極めながら対話に向けた有利な環境づくりを進めようとの思惑がうかがえる。

一方、今回のミサイル発射は米韓合同指揮所演習の最中だった。国内向けに、米国の圧力に屈しないとの毅然(きぜん)とした態度を示す必要もあったとみられる。

だが、こうした独りよがりの強硬姿勢は一層の孤立を招くだけだ。自ら米朝対話の糸口を見失うことにもなる。北朝鮮は横暴で無益な挑発を即刻やめるべきだ。

北朝鮮のミサイルが日本上空を通過したのは、2016年2月に発射された長距離弾道ミサイルが沖縄上空を通って以来5回目だ。

今回のミサイルは約2700キロ飛行し、襟裳岬の東約1180キロの洋上に落下した。新型中距離弾道ミサイル「火星12」の可能性があるという。

北海道上空の通過時間は約2分間で、東北や関東地方でも全国瞬時警報システム(Jアラート)が作動した。住民の間で「どこに逃げればいいのか」と混乱や不安が広がったのは当然だ。

ミサイルは緊急情報の発出からわずか3〜5分後に上空を通過している。新幹線などが一時運転を見合わせたが、避難しようにも対応の限界が浮き彫りになった。

安倍晋三首相はトランプ氏と緊急に電話会談し、圧力強化の方針で一致した。日本が米国と緊密に情報共有することは重要だ。

ただ、これまで圧力一辺倒の対応で、北朝鮮の姿勢を転換させることができていない現実も直視したい。

既に射程内にあることを前提とすれば、ミサイルを撃たせない方策しか事態打開の道はない。対話による解決に向け、中国やロシアとも連携した外交努力を尽くす必要がある。

ソース:南日本新聞 8/30
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