米シリコンバレーにいる知人にカカオトークで訊いてみた。「サムスン電子が人工知能関連会社を買収合併できないそうですね?」。

シリコンバレーでスタートアップ企業を創業するなど長年の経験を積んできた彼は、あるホームページのリンクを添付してくれた。サムスン電子のベンチャー投資部門である「サムスン・ベンチャー」が投資している企業のリストだった。

リストによると、サムソン・ベンチャーは先月にはモノのインターネット(IoT=Internet of Things)・自動運転車などに使用できる視覚認識技術を保有しているスタートアップ企業や、半導体・電子メーカーに数百万ドルを投資した。

また、5月には人工知能とマシンラーニング技術を保有している企業に1300万ドルを、4月にはネットワーク会社に3750万ドルを投資した。サムスン・ベンチャーは今年だけで6社など、合わせて115社に投資していた。

知人は「サムスン電子が買収に乗り出していないだけで、地道に人工知能関連企業に投資をしており、それらの企業を注視している」とし、「最近、サムスン電子が人工知能を担当する人材を探していた」と話した。

さらに、「トップがいなくて投資できないというのは話にならない」と付け加えた。

29日、保守メディアは、イ・ジェヨン副会長の不在で、サムスンが人工知能スタートアップを買収するのに手を拱いているという記事を掲載した。

「グーグル・アップルが人工知能の技術・人材をスカウトしているのに、サムスンはお手上げ状態」、「ライバルIT企業が人工知能企業を独占」など、経営の空白を懸念してわめきたてた。

米国で情報技術(IT)企業を運営した経験を持つイム・ジョンウク・スタートアップ・アライアンス・センター長は、「サムスンにはソン・ヨングォン(サムスン電子の戦略担当最高責任者)、デイビッド・ウン(サムスンネクスト社長)のような大物たちが布陣しているが、彼らは投資を自分の裁量で推進できると考えている。また、ライバル会社を刺激しないために、買収の事実を公表しない場合もある」と話した。

デイビッド・ウン社長は今年初め、米国で1800億ウォン(約176億円)規模のファンドを造成して、人工知能とIoT関連のスタートアップに対する投資を本格化すると明らかにした。

サムスン電子本社も(投資に)力を入れている。8月28日には需要拡大に備え、中国西安の半導体ラインの増設に70億ドルを投資することを決定した。5月にはスマートフォンを作るサムスン電子無線事業部全役員が集まり、「2020年ビジョン」を作成した。

もちろん、イ・ジェヨン副会長が拘束された状態でハマーンの買収(80億ドル)のように大型買収合併を行うのは、過程や決定の段階で困難を伴うかもしれない。

しかし、リーダーシップの空白のため、サムスンが二進も三進も行かなくなったというのは行き過ぎた杞憂だ。もしトップがいなければ何もできないようなら、そのような経営構造を作ったのも問題だ。

イ・ジェヨン副会長を「何も知らない人」に仕立てる裁判の対応戦略に続き、サムスンさえも競争で後れをとる企業にして、不確実性を高めるつもりなのか問いたい。

http://img.hani.co.kr/imgdb/japan/news/resize/2017/0901/150421165645_20170901.jpg
イ・ワン記者

http://japan.hani.co.kr/arti/economy/28343.html