英国の公共放送局であるBBCが、昨年から準備を進めてきた北朝鮮向けの朝鮮語放送を今月から開始する。

BBCの海外向け放送、ワールドサービスのフランチェスカ・アンズワース局長が英紙・ガーディアンに語ったところによると、朝鮮語放送は近く開始され、深夜の時間帯に30分間流される。深夜に放送を行うのは「隣人に知られず布団に潜り込んで聞けるように」(アンズワース局長)との理由による。

「独立したニュース届ける」

放送に携わるスタッフの半分はロンドン、残りの半分はソウルに駐在し、そのうちの少なくとも1人が北朝鮮にバックグラウンドを持つ人だ。

今回の朝鮮語放送開始は、12カ国語での放送を新設するというBBCワールドサービスの拡大方針に基づく。英国政府は、2億8900万ポンド(約406億6000万円)の予算を割り当て、BBCは新たに1400人を雇用するという。

朝鮮語放送を開始する理由について、アンズワース局長は次のように説明した。

「(権力から)独立したニュースを最も求めている人の元に届けるのが、BBCの一番の使命だ」
「北朝鮮の人々が得られる情報が、あの女性が毎日テレビで言っていることだけというのはひどい」

あの女性とは、朝鮮中央テレビの李春姫(リ・チュニ)アナウンサーのことを指すと思われる。

北朝鮮当局は、海外からの放送の聴取を厳しく取り締まっているため、放送を北朝鮮の人々に届けることは「難しい挑戦」だと局長は述べている。一方で、脱北者の3分の1が北朝鮮にいたころに海外放送にアクセスしており、若者は政権に恩義を感じておらず、政府以外からの情報を求めているという韓国KBSが行った調査結果を元に、自信を示した。

しかし、計画は非常に慎重に進められている。北朝鮮の反発が予想されるからだ。

ロンドン駐在の北朝鮮大使館の関係者は、アンズワース局長と会った席で露骨な形で、朝鮮語放送の開始を望まないことを伝えた。それに対して局長は「反体制的なラジオではない」「BBCは反対勢力や政府の側ではなく、人々の側に立っている」と説明した。

番組構成など朝鮮語放送の詳細については、今のところ公式に発表はされていない。

http://dailynk.jp/archives/94320